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それではどうぞご歓談ください

少し前の草群さんの日記にあった「私は何屋なんだろう」という一文に深く頷いてしまった。「私は何屋なんだろう」。私も最近、よくそんなことを考える。 私はそもそも案件請け負い系の自営業であり、何屋とも言えないその日暮らしをずっと続けているのだが、コロナ禍以降はオンラインイベントを定期開催したり、本屋的なものをオープンしたり、人の書いた小説をほめたり、求められたら簡単な添削をしてお金をもらったり……ますますよくわからない状況になってきた。 しかも最近は空き時間で餃子を包むことになったと思ったら、私の餃子を包む手つきがそんなにお気に召したのか、餃子とはまったく関係のない別部署に引き抜かれようとしてもいる。どうなってしまうんだ、人生。 さて、普段はその日暮らしだからとて困ることもないのだけれど、今週末ばかりはそうも言っていられない。というのも、友人の結婚式に招かれているのだ。 結婚式に限らないが、久々に会った友人との歓談では必ずこの質問が出てくる。「いま何の仕事してんの?」 この質問が嫌だとか、失礼だとか言うつもりはまったくない。ただ、ちょっとだけ困ってしまうのだ。アレとコレと、ソレをやりつつ、最近はムニャムニャにも手を出しています――と正直に話すと、大抵の人は「わかったようなわからないような」という顔をする。当然の反応だ。たぶん私が友人の立場であっても「わかったようなわからないような」という感想を持つだろう。もっと簡潔に、的確に、業界の外にいる人にもわかりやすいようにエッセンスだけをまとめる技量が私にあれば、こんなことにはならないのだけれど。 相手を困らせないよう、簡潔に的確に「アルバイター!」と答えるようにしていた時期もある。実際、案件請け負い系の自営業なんて生涯アルバイターのようなものなのだが、この言い回しをすると(しかも明るい声を出せば出すほど)要らぬ心配を相手にかけてしまう場合があると気づいてからはやめてしまった。 何の解決策も見出せぬまま件の週末がやってきて、今こうして取り留めもなく日記を書いている。いや、書いていたのだけれど……こうして文字にしていたら、ちょっとした困りごともなんだか面白いイベントか何かのように感じられてきた。わくわくしてきたぞ。さあ、今回は何屋さんということにして歓談を乗り切ろうか。 草群さんは職場でもプライベートでもオールラウンダーになりつつあ

イベントカレンダー

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 日記の順番が回ってくると何を書こうかとしばし考える。 大会のために遠征した広島については、個人のnoteに書いたし、少し時間が空いてしまった。 それ以外に書くようなことは何もなかった、そういうわけではない。 週末ともなれば、よく人に会い、うまいものを食べている。 どれも心やすい楽しい時間であり、 ではその中のどれに絞って書こうかと迷って筆が止まる。 直近に起こったものを書けばいいのだが、選んでしまうと零れ落ちてしまったものに申し訳ない気がするのだ。優劣をつけるわけではないのに。 いっそ全部ちょっとずつ書き出してみようか。 交換日記でそれをやるのは、なんか「友達多い自慢ですか? おいしいごはん見せつけて楽しいですか、もうXで見たんで結構なんですけど、はあん?」 とふたりは言わないだろうと思うから(……言わないよね?)、こんな時期もあったのだ今では考えられないといつか振り返るかもしれない。未来の自分へ見せつけてやろう。 12日金曜日 会った人:Lさん、Apさん、Akさん、Mさん 行った場所:中野 食べたもの(細かいものは省略):スープカレー、オムライス 私とLさんが部活のたびにスープカレーを食べ歩いている話は 前回 した。 それに興味を持った3人が合流した。 通常のスープに豆乳など加えてまろやかなコクを出した山の幸スープがおいしい。ひとりで始めたスープカレーだが、みんなで「カスタマイズどうするどうする?」とわいわいできるのは楽しい。 オムライスのおいしいボードゲームカフェに移動し、「りんごかるた」のテストプレイ。リンゴに詳しくない人の思い切りのいいプレイが、興味深い。ドンジャラを初めてやった。子供向け麻雀のようなもので、各牌にドラえもんに登場するキャラクターが描かれており、「しずかちゃんなんかいらねぇよ」と人気キャラも容赦なく捨てられていく。 オムライスの店に来てオムライスを食べないなんて、そんな極悪非道なことはできないので、限定の坦々麺風のオムライスを私だけいただく。 会計のためにレジに行ったら、2年前に1度会っただけの店長に「見ましたよひじきさん、おばけキャッチ」と不意を突かれた。 13日土曜日 会った人:Nさん 行った場所:四ツ谷 食べたもの:鶏のレバームース、牛ほほ肉の赤ワイン煮、パン、フランボワーズのソルベ 元同期のNさんとはいまだ付き合いが続いており、半年

あたまに花殻

桜吹雪が過ぎて、公園の高い木々が実だか葉だか、いろんなものをばらばらと振り落としている。 家から駅に向かうには、通りに出て最短距離を行くか公園をまわっていくかのふた通りがあるのだが、道を渡らないぶん公園まわりのほうが早い場合もあり、このところよい天気の日が続くので、花から青葉に移り変わるこの時期ならではの劇的な変化を楽しんでいる。桜は散りかけから若葉のあいだに花がちらほら残っているくらいが一番好きだ。ぱんぱんに花開いた八重桜のぼたもちっぷりも好きだけれど。 パンまつり(という呼称がすっかり定着したな)でやまおりさんはシティーベーカリーのバゲットにはまっていたが、私はプレッツェルクロワッサンサンド(長い)にはまったので今日の昼ご飯用に買って、電車に乗る前に駅のお手洗いに寄ったら脳天にぽっちりと桜の花殻がのっているのを発見した次第である。 どうりでパン屋のレジでおねえさんの視線を感じると思ったんだよ。そういうことか。 シュッとしたお店はそういうとこシャイで困っちゃうわね。言ってよもう。 朝からおいしいパン買ってホクホク、とはなかなかいかず、そもそも仕事に行きたくなくてお昼ご飯でテンションを上げようとしたふしがある。 なんか、いろいろあるのだ。主に人の動き。このあいだやーんなっちゃったので帰りにいちごとかお刺身とかやたら買い込んで平日の晩から一人で宴会を決め込んで以降、「やんなっちゃった晩ごはん」の割合が増え、日中も全方向にがんばろうとするのをやめたというか、ちょっといろいろ先鋭的になりすぎてた気がするというか、自ら揉め事を起こしかねないコンディションだったので一旦落ち着こうという結論に達した。 私としては手を抜いているくらいの心持ちなのだが、ただ気を張ってカリカリするのをやめたぶん少しやわらかく仕事に当たれるようになったような。 いや、基本的にやーんなっちゃってるのでさっさと切り上げて帰るようにしてるから、 単純にしっかり寝られてて穏やかなだけかもしれない。 本業のテンションが雨降り前のツバメなみに低空飛行なのは、副業というか個人の趣味の延長でやってきたデザインのことでちらほらお声がけいただいているためでもある。 基本、好きなことしかしなくていい(語弊)のでこちらは間違いなく楽しい。なんかこう、うまいこと対応して倒していく仕事の面白さとは別種のもので、もっと野蛮な活動だ

ぼんやりと春

 春。少しぼんやりしすぎてしまったようだ。このぼんやりの間に何をしていたかというと、春のむらくもやま朝パン祭にてひじきさんにオススメされた吉祥寺・City Bakeryに通っていた。 先日の朝パン祭では3件の店を梯子した。その際にひじきさんのご提言で知ったのが、吉祥寺パルコの1階にあるCity Bakeryという店だ。私は朝のパンとともに、その日以降に食べる用としてバゲットを1本、購入した。以降、この1週間で3回、あの店にてバゲットを購入している。 City Bakeryのバゲットは1本280円(税抜)。吉祥寺の他店と比べると、値段あたりのサイズはやや小ぶりだ。しかしCity Bakeryのバゲットは、他店のものと比べてモチモチ、いや、モチッ…! としている。軽くトーストすると、その違いはより顕著になるだろう。 一般的にバゲットは安いほど食感が軽く、クラム(バゲットの内側の、白くて柔らかな部分)があっさりさくっとする傾向にある。けれどCity Bakeryのバゲットは1本あたりの単価が安いながら、このクラムが香ばしく、かなり後をひく歯ごたえと弾力を有しているのだ。当然のようにクラスト(バゲットの外側の、茶色く香ばしく固い部分)も粉の風味が強くて美味い。 サクサクふんわりしたパンも、もちろんおいしい。けれど私は、ことバゲットに限っては、クラムがモチッとしていればしているほどに歓びを感じる派閥に属しているのだ。City Bakeryのバゲット、最高です。これにベビーチーズと白ワインを合わせるとなおよい。ぜひお試しください。 バゲットを齧る合間に主催イベントの新企画を起こしたり、主催している店の事業計画的なアレソレをまとめたり、仕事の諸々を進めていたりしたのだけれど、そのへんはキチンとまとまるまで面白くもなんともない情報ばかりなので、この日記では割愛しようと思う。 まあ、それだけぼんやりながらもなんとか日常を乗りこなしている……ということだけ伝わればよいかしらと思う。なにしろ春なのだ。ただ健康に日々を暮らしている、それだけのことを言祝ぎたい。 ぼんやりながらも、生きております。

しっくり飯(スープカレー)

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 先日のむらくもやまのパンまつり、楽しかったですね。 たまに漫画が流れてくる「マダムたちのルームシェア」の世界みたいだった(そうかな) カタカナーシはテンポよくいったこともあり、時間の許す限り、72枚全部やった。 そして、あえてあの場では言わなかったのだが、カタカナーシの正規のルールにおける終了条件は、いずれかのプレイヤーが10点を獲得するとゲームが終了する。 本来、重量級のゲームの息抜きや待ち時間でやるような15分くらいで終わる軽ゲーなのだ。 毎回全部やってたら、そのうちお題候補もなんとなく覚えちゃうだろうしね。 でも、私はこういうやつ何時間でもやりたいくらい好きだし、2人の説明をずっと聞いて当てていたくて、たっぷり遊ばせてもらった。 やまおり亭さんのラップ調よかったし、草群さんの「屋外の忍者屋敷」とかちょっとひねった一言ヒントも好きだった。 これのバージョン違い(ボブジテンという)ならボドゲカフェにもあるから、また遊んでください。 次の朝会(あると信じてる)は、「昼ドラ川柳」でも持っていこうかな。 2023年10月のしっくり飯はバインミーをお送りしたが、 今はスープカレーが気になる。 札幌に暮らしていた草群さんには釈迦に説法かもしれないが、スープカレーは北海道札幌で発祥したソウルフードである。 うまみのあるスパイススープにたっぷりの野菜がごろっと入っている。肉も骨付きチキンや角煮などシーフードだってあり、トッピングにいももちやザンギなどが足せて、もはや北海道を食べていると言っても過言ではない料理だ。 3月中旬からこれにしっくり来てしまって、週4で食べたりした。 いや、タイミングがですね、ちょうど部活動が盛んに行われる時期でしてね。 部活動とは吉祥寺のきゃらべで夜な夜な開かれるおばけキャッチの練習会である。4月の大会に向けて、3月は週1~2回のペースで平日夜に集まっている。平日フリーパスの元がとれすぎる頻度である。 大の大人が睡眠を犠牲に12時近くまで、実戦を重ね、鍛錬を積んでいる。 おばけキャッチはアクションゲームで集中力もいるから腹ごしらえは大事だ。 仕事を終えてから部活の始まるまでにしっかりと栄養を取る必要がある。 まだ気温が低かった頃でもあり、何気なく入ったスアゲという店で、しっくりきてしまったのである。 スープカレー、おいしいじゃん。 20年近く前に青山

天上天下花見日和

てんじょうてんげはなみのひより、と読む。 今日私が作りました。 この週末は激しい嵐ののち急激に気温が跳ね上がり、春というより初夏の陽気をもって桜の開花を迎えた。花の名所と言われるところには続々と人が詰めかけている。 桜もいいけどな、足元を見てごらんよ。これまたいろんな花が咲いてるもんだよ。 そういう意味を込めた、今回のタイトルである。 この一週間はちょっとした節目、というか切り替えの週になった。 仕事のほうは抱えていたものが一段落して部分的に後輩たちに渡せるようになり、上司と話し合ってオフィシャルに「業務幅をセーブして一旦整理しましょう」のターンに入った。担当の企画もあとは事故のないように経過をみながら進行するのみ、ひとつ受け継ぐ案件はあるものの、企画業務からはすこし距離を置くことになる。 幅を抑えるぶん、現状混線しているあれこれの手続きや運用ルールの見直しとマニュアル整備あたりが当面の命題になりそうだ。 華やかな仕事もそりゃやりたいけども、いろんな仕組みがぐらついてるせいでみんな(自分をふくむ)がイライラしてるのを目の当たりにしてきて、どうしても愚痴っぽくなってしまう空気もしんどかったし、何より来るもの拒まずであちこち首を突っ込んできたおかげで人やもののつながりがある程度見えるようになった。交通整理をやるなら今だろう。 私だからできることで、状況が必要としているはずのもの。 これをちゃんとやりきったら、すっきり次の段階に行ける感触がある。 そういう展望も含め、上司には全部正直に話した。 まどろっこしいことの嫌いな人である。忌憚のないやりとりができて、とてもありがたい。 仕事量が谷間に入ったのはある意味計画的犯行でもあって、平日ど真ん中に三連休をとって札幌に行ったりもした。妹に会う名目ではあったが彼女にも仕事があるので、一緒に過ごしたのは観劇をふくむ一日目だけ、あとはほぼ食い倒れ一人旅であった。 五年足らず前に三年間だけ住んでいたことがあるので、ある程度の土地勘とうまいもの勘はある。基本的には出入りしたことのある店へ出向き、海鮮丼を食べとろさばの焼いたのを食べ、同じカフェを連日訪ねてうまいパスタと焼き菓子とコーヒーを複数種類堪能し、唯一初めて行ったバーでは二十代の男の子たちにちやほやしてもらって上機嫌、観光地らしい観光地にはほぼ行かず、読みたかった本を籠もって読んだ

必要経費

パソコンのキーボードを買い替えた。 キーを押したときのクリック音がはっきりと鳴るものから、音が鳴りにくい静音仕様のものへ。そして数字用テンキー付きの幅広なものから、テンキーを排した一回り小さいものへ。 買い替えのきっかけは、キーボードの前に置くアームレストを新調しようとヨドバシカメラへ行ったことだ。目的だったアームレストはすぐに見つかり、ついでにPCアクセサリ売り場を冷やかして――その時に出会ってしまった。二千円強で買える静音キーボードに。 静音キーボード、ずっと気になっていたのだ。私の暮らすアパートは音がよく響く。日中はどれだけキーボードをカチャカチャいわせても気にならないが、夜半を過ぎれば話は変わってくる。さりとて音が鳴らないよう慎重にキーを叩こうなどという配慮は、決心から三分も経たぬうちに吹き飛んでしまう。打鍵のリズムに乗れば乗るほど筆は早くなり、キーボードはいっそう高らかに音を立てるのだ。 そこで静音キーボードである。これならいくらリズミカルにキーを叩いても、音は控えめ。この機会にあまり使わないテンキーを排せば、キーボードが小さくなるかわりに机の上が広くなる。少し窮屈だったキーボード横にマグカップだって置けてしまう。その上、私が見つけた静音キーボードは薄型であった。今使っているキーの背丈が高いタイプに比べて、手首への負担が少し減りそうだ。正にいいことづくめ。そんな品が二千円と少しで買えてしまうというのだから、この期を逃す手はなかった。 キーボードの衝動買いなんて初めてだが、まあ仕事で使うものでありますし、道具にお金をかけるのは悪いことではありませんので……誰にともなく言い訳をしながらキーボードを抱えて帰り、さっそく使い始めて丸一日。 気のせいだと思いたかったけれど……なんか……前のやつのほうが使いやすいかもしれない……。 売り場で試し打ちしているときは気づかなかったが、この静音キーボード、前に使っていたものよりもほんの少しだけキーが固い。新品だからであろうと思い、慣らすつもりで一日かけて文字を打っていたら少しは改善されたものの、代わりに音が少し出るようになってしまった。いや、まだまだ「静か」の範疇ではあるけれど……しかもこれまた売り場では気づけなかったのだが、この新しいキーボード、前のよりキーピッチ(キーとキーの距離)が少し狭いのだ。そのせいか、キーの打ち間