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虚無とダンス

5月はゴールデンウイークがあったため、本来2週目には落ち着く仕事が3週目までなだれ込み、最終週には事務局人員が大幅に削減されたでっけぇ会議の準備で、平日夜のゆとりがあまりなかった。 まあ、土日は山梨にジャガイモの世話をしに行ったり(中央線の信号トラブルで全然帰れなくなったり)、幕張メッセのゲームマーケットで魔王Tシャツを着たり(200人近くに段位認定を体験してもらったり)と出歩いてるし 平日も隙間を狙っては、前から気になっていた山谷酒場(むらくもやまも好きだと思うから行きましょう)を訪れたり、すごい肉屋のすごい肉を食べたり(肉屋じゃないときからの知り合いだから来れているコネ)してるから遊んでんじゃねぇかと思うけれど、 いつだって定時で退勤したいマン(なんなら早退大好きマン)なので、 12時間以上職場に滞在している、夕飯がおろそかになる日が何日も続くと「私ってなんてかわいそうなんだ」としおしおになっていく。 ストレス解消のヤクザ映画を見る時間もないじゃないか! 帰りの電車内でX(旧Twitter)をおっかけるのも億劫なときに 無の心でやっていたのが スマホのアプリだ これまでソシャゲに見向きもしなかったひじきが とうとう何かに手を出したのか 心の癒しを求めるあまり課金とかしちゃうのか ……いえ、そんな美形キャラがわんさか出てくるキラキラした感じの画面ではなくてですね 入れたのは バックギャモンのアプリだ バックギャモンは昔からあるすごろくゲームである トルコの街角でおっちゃんがのどかに遊んでいるイメージ 有名ではあるが、私はこないだボードゲームカフェで初めてルールを聞いたばかり サイコロと盤面を使う2人用のゲームで 相手の邪魔をしながら自分のコマ15個をすべてゴールに送り込んだら勝ちという 運要素も大きそうなシンプルなゲームだが 突き詰めれば戦略的で奥深く たぶんコマの移動のセオリーとかいろいろあって 勝ち点の倍率を上げるくそでかサイコロもあって 世界大会も開かれている まあ、私は何も考えたくなくて無心にサイコロを振ってその分コマを動かすというのをポチポチやりたいだけでやっている 初心者用のアプリで、どこに置けるかのガイドもつくし、2回に1回は勝てる強さになっているため、デイリーミッションを1ゲーム勝つ頃に最寄りの駅に帰ってきている。スタンプをもらうラジオ体操のような...

出不精、山へ行く

私が物書きに手を染めたのは、荻原規子『空色勾玉』にはじまる勾玉シリーズの影響がとても大きい。 手を染めた、などというと悪事の片棒を担がせたようで聞こえが悪いが、他に言いようも見当たらず。まあいいか。 同じ作品を愛する者どうし、というきっかけで、おもにSNSで交流のあったNさんが山に行くというので、連れて行ってもらうことにした。 ひとりでも行くという。そういうの大好きだ。呼びかけがあったのはたしかまだ冬のこと、そのお山とお社が件の作品に縁があるというので、一も二もなく手を挙げた。 基本、どこへでもひとりで行こうとする人間である。なんかこう、いろいろと行き詰まっていた時期でもあり、私には山が必要だと思ったし、新しい景色が見たいと魂レベルで切に求めて苦しんでいて、そんな人間でも相手をしてくれるだろうというNさんへの信頼もあり。 渡りに船。蜘蛛の糸。本当にありがたかった。 さて、ワークマンひじきと違って私は山の装備なぞ揃えていないので、それなりに難所はあるぞと聞いていたが普段着の延長で、靴だけは頑丈なものを選んで待ち合わせの時間に向かった。 御嶽駅に9時。 普段の生活に比べるとずいぶん早起きしたが、山登りにしては優しい時間設定だと思う。雨の気配が残る重たい雲の下、もう五月もなかばだというのに寒いほどの気候で、でも平日にいつもと逆の電車に乗るのはわくわくした。 珍しく遅刻せず、なんなら乗り換え待ち二十分の青梅で一度降りてコンビニに寄れた。 ほとんど顔合わせたこと無いけどNさんわかるかなと心配していたが 杞憂 帽子の特徴聞いてたのもあるけど、改札出てすぐわかった。 あとはもう、天気予報(晴れ予報だったが朝は曇りどころか霧まで出ていた)を疑いながら 「バスに乗ります」へー! 「ケーブルカーに乗ります」へー! と、目的のお山へどう向かうのか本当にまったく調べずに来たどうしようもない連れを朗らかに導いてくれたNさん。 ほぼネットでしか交流してないのに、このあと一日中ずっと話し続けることになる。 すごいな、同じものを好きで育ってきたからか。 バスからケーブルカーに至る道も、ケーブルカーから武蔵御嶽神社までのみちのりも急な坂がしばしば、たいした距離じゃないのに息切れしておのれの衰えにうっすら絶望したものだが、四六時中駆け回っていた学生時代なんてもう二十年近く前なのだから自惚れもいいところ...

種は蒔いている

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 文学フリマ東京42、お疲れ様でした。 むらくもやまの三人のうち、「くも」と「やま」の部分は出店して『むらくもやま日記3 あめあがり』を販売し、「むら」の部分は一般参加で打ち上げから合流してくれた。 打ち上げは、ひじきさん経由で知り合った方々と一緒に。ペンネームやSNSのアイコンには見覚えがありながら、生身で会うのは初対面という方もちらほら。けれど、そこは「書く」「読む」という共通の趣味を持つ大人同士、あっという間に打ち解けてしまった。 私は場で熱く語られていたプロジェクト・ヘイル・メアリーにまんまと興味をそそられ、読みかけだった原作小説にふたたび手を付け始めています。 次回の文学フリマ東京は、今年の十一月開催。こっちは(全員の諸々が首尾よくゆけば、おそらく)むらくもやまの三人ともが出店者として参加することになるのではないかしら。 それまでに、なんとか新刊を捻り出せるとよいのだけれど。 久々の大規模なリアル即売会。会場でいつも本を買ってくれる常連さん方が、口を揃えて「書き続けてくださいね!」「新刊も待ってます」とエールをくだすったのだ。待ってくれている人がいるありがたさを噛みしめると共に、最近は新作小説を発表していないものだから、見てくれている方々にちょっとした不安を与えてしまっていたのだろうか、と、やや申し訳なく思ったりもしている。 新刊の種はね、いろいろ蒔いてはいるんです。あとちょっとだけ待っててね。 会場でやる気を、打ち上げで元気をもらった文学フリマ東京42。さて次に向けて新作をと考え始めたとき、ふと「コンセプト」という語が浮かんだ。 この言葉が意識に上ったきっかけは、文フリ東京の一週間ほど前にある。 四月の末、私は『つくってるとちゅう展』という展示会に出展していた。「むしろ、つくってるとちゅうが面白い」というキャッチコピーのもと、様々な分野のクリエイター5名が集結し、それぞれの「とちゅう」を展示するという企画だ。 写真、ビスクドール、ニット、立体造形を手掛ける作家さんたちのお隣で、私は『ぶんぶくふくぶん』という短編集を作ったときの「思考の途中」を展示した。 この企画、かつて吉祥寺にて文芸同人誌のシェア型本屋を運営していたときのご縁でお誘いいただいたのだけれど、蓋を開けてみれば私以外の人間は全員が美大卒、および現役の美大生だったようだ。道理で皆、展示慣...

草原に寝ころび、火星を開拓する

 本屋に行ったら、やまおり亭さんとばったり会った。 近所を歩いていると約束しなくても顔を合わせることがあるの、むらくもやまって感じだ。 会った場所が本屋というのもまたいい。 セクシーなランジェリーショップとかだと気まずくなっちゃうかもしれないし。 いや、まあ、買おうとしている本を見られるのも恥ずかしいっちゃ恥ずかしいか? ……などとしれっと始めておいて、 当番と知りながらも1か月この交換を放置しました という札を首から下げているひじきです。 さぼっている間何をしていたか言い訳すれば、 日記の当番が回ってきた直後に、 個人的にけっこうショックなことがあった。 好きでやっていたあることが突然、どうにもならない理由で、今後一切できなくなる 的なことだったので(※政治情勢とかそういう大きなやつではなく私の体の問題) せめてこれを日記のネタにして成仏!と思ったのだが、 まだ受けた傷は生々しく血が流れていて、しばらくは通勤途中も夜寝るときも「ウッ」と悲しくなってしまうような、かさぶたもできていなかったので、どうも書く気になれず、 まだ時期じゃなかった、やめようと切り替えた。 切り替えた時には、年度末決算の物量の多い残業の平日が過ぎていき 土日は 花見と(むらくもやまの井の頭公園) 花見と(女子会研究会の播磨坂) 花見と(古いボードゲーム仲間の上野) 富山旅行をし(長い旅行記を書き) 仕事がやっと落ち着いたら、 いつものひじきとして遊び歩いていて今日に至る。 そろそろ書かないととキーボードを叩き始めたものの、そうね……ボードゲームの話でもするか。 おばけキャッチ以外のボードゲームに関してはゆるふわを表明しているひじきだが、 ボードゲームを知っている人に「そのゲームをやる人はゆるふわって言わないよ」と言われるゲームに手を染め始めている。 ボードゲームは 1ゲームのプレイ時間によって、 軽量級(30分以内) 中量級(1時間程度) 重量級(数時間) みたいな分け方をする。 ()内の時間はひじきのイメージ。 プレイ時間が長くなるのに比例して、広げるボードやカード、コマなどのコンポーネントも増え、箱がでかくなることが多い。 さくっと終わる軽ゲー(かるげー。軽量級ゲームの略)が好きって人もいれば、 頭を使ってじっくり取り組む重ゲー(おもげー。重量級ゲームの略)が好きって人もいる、 さ...

脳天に月、花の盛り

この冬の繁忙期を乗り切りました、 やったー! 私の部署は個人単位で案件を統括するので忙しさが受け持ち案件の規模に依存しており、 この1月〜3月は規模大きめの案件を連続で抱えてたので土日もまったく気が休まらないような日々が続いていたんですが、無事にやりきっていまは次の仕事の仕込みに入っています。 次は秋にでかいのがあって、それだけを目指してのんびりやってるほどうちの部署は人材が潤沢ではないので売上を最大化するために合間で細い施策をちょこちょこ自分で立てて、あとは部署全体で受けた仕事をみんなで割り振りして、みたいなかんじで決して暇になったわけではないけれど 「うわ! 納期!!」みたいなフェーズは抜けたので休みはしっかり休める。 わあい。 とはいえまた今後の仕込みで台湾行く予定が入ったり、直近の案件も決して安定軌道にのったわけではないのでぼうっともしてられないのだが、 やっと周囲を眺める余裕ができた。 あ、ひとつ自慢していいですか。 10年近く前から好きで愛読してきた小説シリーズの周年イベントを担当することになって、作家とも直接お会いする機会があったんですが、 めちゃくちゃ愛情と気合を込めた企画の意図をばっちり汲んでくださって、お褒めの言葉をちょうだいしましたわーい!! 愛読者としてこんなにうれしいことがあろうか!!! アニメや漫画のイベントと比べて小説作品のイベント、とくにグッズ企画ってすこし特殊で、もちろんカバーイラスト&装画のイラストレーターが関わっているからイラスト推しにはなるのだけど 作品のを通じて繰り返される重要なキーワード、フレーズ、台詞、モチーフによって共有される作品の核というか「ああ、それそれ!」って伝わる「言語による共通認識」は確かにあって、小説作品を扱う上で、自分も文章を書く身として、そこは絶対に落としたくなかった。 ので、イラストだけに依存しないで、台詞や作中の象徴的なモチーフや文字列にによる美しい表現もグッズデザインやコラボメニュー、イベントコンセプトにに必ず反映する、というのが私の仕事上の信念でして、今回は特に時間のないなかでも妥協せずにわがままを通す(そのぶん自分でできることはやる)ことができて、 それが著者ご本人にも伝わって、こんなに嬉しいことはないと思った。 いや、本当に、かねてから「この作品で仕事できたらもう辞めてもいいな」くらいに思っ...

この春の標語

ひじきさんが『むらくもやま日記』の第三弾発行に向けて、さっそく動き出してくださっている。なんて仕事が早いんだ。 表紙はいつも草群さんが素晴らしくかわゆくしてくださっており、本文とコメントの流し込みは、前回から引き続き、ひじきさんがご担当くださっている。前回のやまおりといえば、自分の書いたもののチェック以外は、ベン図のページと各種あとがきのドラフト書き込み場を用意したくらいで、あとはお二人におんぶにだっこだった。 というか草群さんとひじきさんの仕事が早すぎて、うかうかしていると担当者の決まっていない細かな作業のすべてを掻っ攫われてしまう。ありがたいことだが、頼りすぎるとダメになってしまいそうな危機感を覚えるタイミングもあったりして……今回は自分の書いた本文のチェックをもりもり終わらせて、細かいパーツの準備をできるだけ巻き取ってゆきたいところ。 気合いは十分だが、各々が大人であるがゆえに、そのキャパシティには個人差がある。己の力ではどうしようもできない忙しさが、思わぬところからやってくることもあるだろう。 お互いに、無理は禁物。しかしできるところから積極的にやってゆこうと、気持ちを新たにする春の初め―― ここ数日、ObsidianのDataviewというプラグインにいきなりハマっている。 Obsidianというのは、簡単にいえば、メモ帳アプリのちょっと機能が多いやつだ。この機能の多さを支える要素のひとつが、「プラグイン」である。プラグインというのは、ざっくりいえば機能拡張パックのこと。好みのプラグインをObsidianに追加インストールすることで、アプリをかなり自由にカスタマイズすることができる。 そんなプラグインのうちのひとつが、「Dataview」。このプラグインをインストールすると、取ったメモをいろんな切り口で抽出したり、並び替えたりできるようになる。 季節の変わり目にタスク管理の方法をちょっと精査しようかな、なんて思い立ったのが、ことの始まり。気づけばこのプラグインで様々な「ちょっと便利そうな仕組み」を組み立てることに、かなりの時間を使ってしまっている。 この楽しい楽しいデジタルの積み木に費やした時間を、もしタスク消化にあてていたならば、どれほど大きな進捗を生み出すことができただろうか。概算をし出したところで考えるのをやめた。 こんなに面白いおもちゃが手元にある...

軒先の仁義失礼さんにござんす

 風が強く吹いて三月を連れてきた。 いつもどこかに出歩いて予約の取りにくいイメージのある(といわれる)ひじきだが、ここ数か月、実は土日に人と会う予定は少なめである。 予定が入る傾向として、平日の夜の率が多くなっているのは、私に声をかけてくれる人々が多忙であり土日の予定はすでに埋まっていて、合わせるとなると平日に設定しがちだからだろう。 なので、直前でもお声がけくだされば結構動けます。誘ってください。 予定の入らなかった土日に何をしているかというと、年明けからは阿佐ヶ谷の映画館に何度か行った。 ラピュタ阿佐ヶ谷という劇場をご存知だろうか。 駅から5分とかからない、大きなスポーツクラブの裏手に、不思議な外観の建物がひっそりとたたずんでいる。 私は今年の1月までラピュタの存在を知らず、初めて足を踏み入れた。 きっかけは12月に吉祥寺のパルコの地下にある映画館で、ガザに関する映画を2本見たことに始まる。 文学フリマ東京であいさつ回りをした際、Oさんにガザのドキュメンタリー映画を紹介された。 人におすすめされたならいままでの自分の候補になくても見に行くのが私の性分である。きっかけさえあれば好みかどうかを事前判断せずなんでも吸い込もうとする。 近所の映画館であるアップリンクでやるというから、先に述べたように暇な土日にのこのこ出かけて行って、ガザのドキュメンタリーと書かれていた回のチケットをとって見た。 女性ジャーナリストの話なんですと、Oさんは言っていたはずだ。 ところが、始まった映画は、ガザのドキュメンタリーには違いないのだが、男性のミュージシャンの話だった。 女性ジャーナリストは1ミリも出てこなかった。 ??? 首を傾げながら見終わって、確認したら、 同じ映画館で同じ日にガザのドキュメンタリー映画2種類やってんのかよ!! よく確かめなかった私が悪いです、はい。 後日改めて女性ジャーナリストの方のも見た。でも、その映画についての感想をここで述べる気はない。 アップリンクは数年ぶりに行ったのだが、ここは大型シネコンとは違い、ちょっとこだわりのミニシアター系の作品が多く上映されている。 で、上演を待つスペースにフライヤー置き場があるんですね。アップリンクで上映しないこれまたミニシアター系の映画のやつも置いてある。 そこをなんとなく眺めていたら、目に入ったのは 「血湧き肉躍...