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そういや家には巻き簾があった

鶯がさえずりの練習を開始し、近所のお寺の掲示板に「ボタンが咲きました」との報が張り出されたと思ったら、公園で蝉が鳴いている。どうなっているんだ……。 先の週末はむらくもやまも一度お邪魔した、高円寺の「読夢の湯」さんが主催する「ヨムフリ高円寺vol.5」という同人誌&ZINE等の即売会に出店した。楽しくまったりと、充実した会であった。……のだけれど、少し前のことではあるし、そのへんの詳細は割愛しようと思う。 昨日は吉祥寺の駅前にある、某海鮮系の居酒屋で夕食を摂った。出店100店舗達成のキャンペーンでレモンサワーが1杯100円だというので、これ幸いとお相伴に預からせて頂いたというわけだ。 暑い日が続くとはいえ、暦の上では春。冷たい炭酸のお酒ばかりをそう飲み続けてはいられないだろうという予想に反し、するすると4杯ほどを頂いてしまった。 ここで食べた細巻きがちょっと変わっていて、たくあんとチャンジャを和えたものを芯にしていたのだ。しょっぱくもほんのり辛いたくあんが、薄甘いレモンサワーによく合う。 さくっと1時間ほどで店を出たのち、近くの鮮魚売り場を冷やかしたら、かんぴょう巻きが売っていた。先の店で、舌が巻物づいている。半額であったこともあり、それを買って二次会のつまみとすることにした。 しかし、かんぴょう巻き。最後に食べたのはいつのことだろう。太巻きの中に具材のひとつとして入っているのを、茫と口に入れた記憶はあるのだけれど、味となると……というか、かんぴょう巻きって醤油をつけるものなのかしら? 薬味は? わさび? 手元の端末で調べてみると、かんぴょう巻きというのは江戸前寿司のベーシックなネタであり、海苔巻きといえばかんぴょう巻きのことを指すのが通例であるのだとか。とはいえソースがWikipediaであるし、同記事には「かんぴょう巻きをこれこのように提供するのは野暮だとする説があるらしいが、その理由や真偽は不明である」という旨の文章が頻出しており、これまたいささか茫としている。 つまり、お好みでよろしいということでしょう。ということで、醤油もわさびもつけて食べた。素朴ながらあとをひく甘味と旨味が、そば焼酎に合う。 そんなこんなで焼酎の水割りとともに細巻きをたっぷりと食べ、家にあと3枚だけ残っていたホタルイカの素干し(ひじきさんから富山のお土産として頂いたアレだ)を大事にかじり...

吸い込み士への招待状

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 4月5日のむらくもやまの集まり、楽しゅうございましたね。 この3人でなければ入らなかった店、聞けなかった話、高円寺はまだまだ探検のしがいがありそうです。 お仕事でもご活躍のご様子、健康にだけは気を付けて、次会う時まで生き延びましょう。 この人なら~してくれそう と思い浮かぶ人がいて、連絡する、お誘いする ということが、私にもあるが、今回は私が誘われる側だった。 何かというと、 「お久しぶりです 急なお話なんですけど お米好きですか? おむすびお好きですか?」 というDMがボードゲームで知り合ったNさんから届いた。 N「おむすびひたすら食べる会をやろうという話が出ていまして」 本来別のLINEグループで10人くらいで話が決まっていたところを N「ひじきさん、もりもり食べそう…と思い、ついつい連絡してしまいました…」 追加参戦にお誘いいただいたようだ。 ひじき「行きます」 思い浮かべていただいたのが嬉しい。それは期待に応えたい。 具材は各自1,000円分持ち寄り、1人あたま1合の米を炊くので自由に作ってよいとのこと。 こういうのは具材がバッティングすることもあるからな~どうしよっかな~ と、ニッチなところを突きたい性分なので、成城石井やカルディを見て回った結果、 富山土産の黒とろろでこんぶおにぎりを作ろうと思い立つ。 富山のコンビニ各社では普通に売っているメジャーなおにぎりなのに、関東では食べたことがなくて、富山で食べて好きになったやつ。皆に布教しよう。 そして、それだとただの自分用のお土産に買ったやつが使えるので予算にまだ余裕があるから、 インスタントみそ汁を持っていくことにした。 こういう持ち寄り会の時にね、 メインじゃなくて 汁物とか果物を持っていくとそういうの欲しかったわ!と「神」扱いされるのを、過去の経験から知っているのだ私は。 おむすび会は初めてだけど、外れなかったようだ。 仕事を早々と終えて、わくわくと会場に着き、 14合の米が炊けているのを確認する。 うん?14合? 10人で10合じゃなかったのか。 ま、いいや、作りましょう。 ご飯を詰めて振ると1度に6個のおにぎりが作れるおにぎりメーカーを使うと1個80~90gのおにぎりができる。 はじめはそれで人数分作っていったのだが、 みんなの持ち寄りおかずを全部反映するとなると 米が足りない ということ...

こうかはばつぐんだ

いやーーーー 弊社は皇居のお堀端、桜は満開だが会社の窓から見下ろして満足するしかないくらいチーム内で人の倍仕事をこなしているきがいたします、草群です。 ごきげんよう。 この仕事をしていたらいつかは好きな作品に直接関わることもあろうと妄想を重ねること2年弱、まんまと舞い込んでくるどころかその後どんどんメディア展開の幅が広がり、なんかえらいことになっている&これまでお付き合いのある取引先の仕事もでかいのがきて、チームのなかでも私のスケジュールだけめちゃくちゃなことになっている。 えーーー。 どう考えても私が一番案件を抱えているので「たすけて!」って絶叫したらスッと手伝ってくれる人はいるし、私も身動きとれるうちにアラートを上げられる分別はあるのでいまのところ事故らずにすんでいるのだが、まあ綱渡りもいいとこで、こんな状態で5月の文学フリマに新刊を出せるのかどうかは甚だ疑問である。 出すけど。 放置&後回しグセで大炎上した後輩とか、最低限の確認を回すことさえ怠るヤツとか、仕事とはなんぞやというところから叩き込まねばどうにもならない同僚にバチクソキレちらかしつつ(私だって穏やかに仕事したいのだが、他に誰も怒り役がいないのだ)、きっとよりよい明日が来ると信じてやっていくほかない、とすぐ上の上司&同格の同僚と溜め息をついている。 あとさきとか、相手のことを考えて仕事を渡せる人って貴重なのね。 勉強になりました。 そんなこんなで、ただでさえ自分の抱えてる仕事がどれもこれも期日に追われている&後輩の炎上案件のリカバリまでやってるもんで、エンドレスで段取りと優先順位を考え続ける日々、なんなら移動の時間は予習と振り返りの時間で、片時も気の休まる暇がない。3月上旬に「これはまずい」と都心の天然温泉スパ施設利用券を確保し、どこかで合間を探って休養をとろうと目論んでいたものの「いま休むと危険」な日々が続いて走り続けるほかなく、購入から一ヶ月の期限は刻々と迫っていく。 全部最短で打ち返してるのになんで仕事が増えるのか。 まあそれは正直当チームの炎上コンビ(ベージュ&桃太郎)のなせるわざなのだが、いい加減こちらも張り詰めすぎて、なんなら一昨日の朝は本当に起きるのがしんどかったので、もう無理だという結論に達して半休をねじこんだ。 いざお風呂。ざぶーんの国。 弊社、徒歩圏内に都心型総合エンタテインメント...

じゃがいもの ポタージュ吹きつ うぶの顔

ひじきさん主催の、「じゃがいも俳句を作ろう」の会に参加してまいりました。 じゃがいもの品種と、5・7の言葉が書かれた3種類のカードを出し合い、俳句を作るというワークショップ。 じゃがいも俳句。かなり前のことだが、その原型となったであろう遊びを、ひじきさんとそのご友人が招文堂に持ってきてくれたことがある。あのじゃがいも俳句が、満を持してワークショップに! しかも開催場所は、高円寺・読夢の湯という本屋さん。ひじきさんの日記「 銭湯に通うように 」にも登場していた、畳敷きの店内に靴を脱いで上がるという、あの面白そうなお店だ。形は違えど本屋を主催している身としては、面白そうな本屋さんなんて気にならずにはいられない。お誘い頂くや否や「参加したいです」と手を挙げていた。 会のスタートは、夜20時。30分ほど前から店の中には入れると聞き、遠慮を忘れて19:30を少し回ったあたりで店の戸口から中を覗き込んだ。 まず目につくのは、まだ青々とした美しい畳。突き当りの壁、天井近くに掲げられた大きな液晶画面。その右隣には首を振りながら我々を見下ろす、羽のあおい扇風機。 その真ん中で私を出迎えてくれたひじきさんは、なるほど、この店によく馴染んでいた。この、建て付けはちょっとマニアックなんだけど間口が広くてほっとするかんじ、ひじきさんとこのお店は、どこか似ているような気がする。 入って左手、少しだけ振り返ったところに番台めいたカウンターがあり、そこにいらした店主さんにご挨拶。こういう会に参加する折、いつも忘れてしまう名刺を、今日はちゃんと持ってきたのだ。 畳に腰を下ろし、ゆるゆると会話をしているうちにメンバーが集まってくる。ここにいる人みな、ひじきさんのご友人なのだから面白い。ざぶとんを譲り合い、めいめい名札を書き、ボールペンを回して……そんなこんなで、会が始まる頃にはなんとなく緊張も解けていた。 思い返せば、こんなにも早く緊張が解けたのは、畳敷きの部屋でひとつの卓を囲むという状況によるものが大きいのかもしれない。見知らぬ人の前で靴を脱いだ心もとなさを携え、ぺたぺたと歩く……どこかとぼけたこの空間で、よそ行きの顔をし続けられる人はそう多くはないのかも。 じゃがいも俳句の細かいところは、今後、実際にワークショップに参加する方々のためにも割愛するとして―― 私が一番面白いなと感じたのは、すでに用意...

じゃあ、説明しますね

 インストが上手になりたい。 そう思うことが増えた。 インストとは、ボードゲームのルール説明のことである。 遊ぶ前にルールがわからなければ「すいません、インストお願いします」 などと使う。 つまり、私の説明を聞いた人が「わ~これからやるゲーム楽しそう~」って気分になって、ゲームのおしまいまでのざっくりとした流れとまず何をしたらいいかがわかる状態になってほしい!その説明を上手にやりたいと思うことが増えた。 遊んだことがある、と、ルールがわかる、と、ルール説明ができる、は似ているようで違う。 たくさんのボードゲームを遊べば遊ぶほど、1回遊んだだけではルールはなかなか覚えられないし(やってくうちに思い出すはよくある) ルールを知っていても、人に伝わるように説明するには経験やちょっとしたスキルが必要だと感じる。 インストは、遊ぼうとするみんなが大枠をつかみ、あまり迷わずにゲームスタートできる状態にすることが理想だ。 細かいルールは一度に聞いても忘れてしまうし、その場にならないとイメージがつかないので、その都度繰り返したり補足していけばよい。 私はボードゲームゆるふわ勢として、ボードゲーム好きの友人やボードゲームカフェでいくつものインストを受けてきた。 ずっと教わる側だった。 だいたいの皆さんは抵抗なくインストを買って出てくれるという時点で、インストが上手である。 私が好きなインストの出だしはこうだ。 「これは~になって~しようぜってゲームです」 冒険家になって洞窟探索しようぜだったり、 商人になって競り落として富を増やそうぜだったり、 スパイになって暗号を解読しようぜだったり、 ゲームのコンセプトイメージから話すと、世界観を想像し、ワクワクしたり、みんながこれからやる手順の意味を理解しやすくなる。 ゲームなんだから楽しくなるに決まってるのだが、いきなりやらなければならないことだけ言われても、なんのためにサイコロ転がしてカード引いてるのか、ぼんやりでもわかるのとわからないのだとおもしろさが伝わる速さが違う。 プレイヤーがやることを説明するときは、 なるべく迷いなく淀みなく簡潔に言えるといい。 「やることは~か~、これだけ!」 初めてのゲームに抵抗感を感じないように、カラッと言い切ってくれると、単純な思考の私は安心する。 こちらが「え~っとなんだっけ、ちょっと待ってね」...

本の読める日

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まちなかに住んでいると、「なんかおいしいもの食べたい」が徒歩圏内で叶えられる喜びがあるなあ、と実感する休日。 ここ十日ほど、「頑張れば頑張るほど貧乏くじを引く」としか言いようがない理不尽な目にずいぶん遭って、似たような境遇に置かれた周りの心ある仲間たちとなんとか励まし合い、昨日土曜日にとどめの一発をお見舞いされて風呂にも入らずにふて寝したのだが 翌日曜日の今日、己に褒美を与えんとする意欲が蓄積した疲労に勝り、昼過ぎに街に繰り出したのであった。 豪雪の地域もあるというのに東京はすっかり春の陽気、なるほどだからお布団から出るのが容易だったんだと上着もなしに家を出て、溜めこんだクリーニングを出し、送るべき荷物も発送し、すっきりした気持ちで歩きながらランチの検討に入る。 ラーメンは遅い時間でも食べられるし、チェーン店の気分でもなし、なんとなく感じのいい店で過ごしたいなあと考えて、洋食のらすぷーるへ。 ここ、サラダのドレッシングが異様に美味しいのだ。日替わりランチのハンバーグは角のとれたやさしいデミグラスで、例によって例のごとく、吸い込むように平らげてしまった。 フロアを担う明るいお姉様方の心配りが行き届いていて、こちらの何気ない一言にもポンと小気味いい返答があって、子連れも年配のお客さんものびのび食事を楽しんでいるし、本当にいいお店だなあといつも思う。 それからカルディでうまそうなものを買い込み、芋洗いの如き通りを縦横無尽に歩き通してバースデーカードやらお花やら、以前から目をつけていたマーガレット・ハウエルのカフェでキャロットケーキも入手し、通りがかりにうっかり徳利を買いそうになったが一度見送り、本屋でピンときた文庫本を連れ帰って、それでもまだ午後四時すぎ。 このまま帰るにはまだ惜しい、といつもの焼き鳥屋さんをのぞいてみたがしっかり繁盛しており、駅前の通りを脳内でざっとおさらいしてみたところ そうだ 鳥貴族があるじゃないか 焼き鳥好きを公言しておきながら鳥貴族は行ったことがない、と言うと小さく驚かれるもので、いつかは行きたいと思っていた。最寄りのトリキは駅前ビルのだいぶ上の階で、見るとビル前にいつも若者がたまっているので立ち寄りにくかったのだが、聞けば一人客にもやさしい席配置になっているという。 ふくらんだエコバッグには買ったばかりの文庫本。軽く焼き鳥をつまみつつ、呑みなが...

バゲットのイデア

先日のむらくもやま会で、「見かけたらつい選んでしまう食べ物」の話になった。たとえば、草群さんにとってのキャロットケーキ。たとえば、ひじきさんにとってのフィナンシェやスープカレーやバインミーを始めとした、各種のしっくりとおいしいものたち。 私にとってのそれは、今のところ、バゲットとバタールだ。とはいえ自分から新種を開拓しにゆくほどの熱量はなく、あくまで見かけたら選んでしまうくらいのもの。白ワインを飲むときのつまみとして、ベビーチーズとともにあったら嬉しいねというくらいの距離感でやらせてもらっている。 などと言いながら大容量の紙パック入り白ワインを嗜んでいるもので、これまでになんだかんだと、6、7店ほどのパン屋でバゲット、ないしバタールを食べてきた。 それだけ食べていれば流石にこれといった「好み」が生まれそうなものだ。実際、特に制約のない状態で買うならこの店、という気に入りもできた。できたのだが、バゲットないしバタールたちの……以降、通してバゲットと称するが、それらバゲットたちの味にかんする己の好みについては、どうにも把握できずにいた。できればクラム(バゲットの皮=クラストではない部分)はフワフワよりモチモチのほうがよく、小麦の味がしっかりあるものがよく、かつ、できれば甘い風味は抑えめがよいけれど、翻って言えばその程度であるし、バゲットたちはどんなものも等しくおいしい。 それがね? つい先日のことです。私、把握しちゃったかもしれない。己のバゲットのイデアを。 きっかけは、スーパーで某有名製パンメーカーが作っているバゲットを買ったことだ。普段から特別贔屓にしているメーカーというわけではなかったのだが、パッケージに「和小麦」「ハード系パンに適した小麦を使っている」旨が記載されており、心惹かれた。 手に取ってみると、いつも買っているパン屋のバゲットと比べても遜色ない重量感。しかして価格は100円ばかり安い。パン屋ではない場所でバゲットを買うのは久々であるから、まずはこれを食して様子を見てみましょう。そういうことになった。 いつも通りに買って帰り、切り分け、軽くトーストし、齧る。 ……あれ? これ…… モッチモチで、小麦の味がちゃんとあり、しかし甘すぎず……なんだか、ものすごくおいしいかも! そも私はバゲットのことを、クラムがモチモチで小麦の味が豊かであればあるほど、甘い風味が...