変わり目を乗りこなせ
また少し間があいたので、ドラマティックの話とかコノコネコノコの話とか書きたいことはたくさんあるんだけど、せっかく交換日記なので今回はふたりにまだ話してないことにしよう。 わかりやすくなにかにハマるということの少ない私(焼き鳥をのぞく)にとって、久しぶりのブームがきた。 キャロットケーキである。 なにかと縁はあったというか、印象に強く残りやすい食べ物ではあった。カフェで作家さんの個展が開催されたときにイベント的に提供されたものだったり(バラの形のバタークリームがとてもすてきでおいしかった)、ちょっと奮発したランチのデザートだったり、「あれは美味しかったなあ…」と振り返るとだいたいキャロットケーキなのである。 というわけで、某ヤクザの親分(魔王のほかさまざまな異名を持つ)にならって、今後はどこでどんなのを食べたか、ちゃんと記録をつけようと思うのだ。 先日は平日に休みをとれたので、やりたいこと全部やろうと思って古代エジプト展とモネ展のチケットをとり、キャロットケーキ狩りを心に決めて丸一日出かけた。 さーてまずは肩慣らしに、と思って西荻窪(家から三番目に近い駅)からさらってみたら、駅にくっついてる店いずれもキャロットケーキを扱っており、「あれ、このひとこんなに一般的だった…?」と複雑な気持ちになった。 いや、嬉しいんだけど意気揚々と「探す」気でいたので拍子抜けというか…。 ともあれ早くも2キャロを確保して(できるだけ早く冷蔵庫にいれてと言われたけど冬だからまあ…とそのまま電車にのった)、麻布十番、蔵前、池袋、上野と本当にフルで一日歩き回った。 調子が良かったのは麻布十番までで(早い)、なぜなら美術展や博物展というのはゆっくりゆっくり移動しながら一時間以上立っているので、観終わると満足感と反比例してどっと消耗を自覚するのである。おなかは空くしおねむだし、遅めのお昼をはさむとそれなりにいい時間になったりして、カフェやお菓子屋のひしめく蔵前についた頃には冬の陽はやや傾いてショーケースにも空きが目立つようになり、もしかしたらあったかもしれないキャロットケーキに出会えないまま他の焼き菓子をつい買い込む謎の遠足に成り果てた。 まあ、これはこれで。 適当に見当をつけながら歩いていたらカフェやお菓子屋のほかにも祭半纏や花火、玩具の卸商店に出くわしてとても楽しかった。 と、一日を描写していく...