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5月, 2024の投稿を表示しています

金色のうつわ

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三人ともが文学フリマ東京にまつわる日記を書き、最後にひじきさんが素敵なお写真とともに楽しいアフターご飯の話をまとめてくれた。なんだかようやく文学フリマが終わったような心地だ。 文学フリマが終わった。それはつまり、次のイベントに向けた本の原稿執筆が始まるということを意味する。しずしずと書いております。 さて、しずしずなどと形容しつつ、実際はそれなりにカツカツなスケジュールでカチカチとキーボードを叩いているここ数日である。そんな日々のなか、仕事の手を意図して止めた「完全オフの日」に、近所の店で新しいお皿を買った。 手のひらにすっぽり収まる、丸くて平たいお皿だ。 散歩がてらに入った初めての店で一目惚れをし、とはいえちょっと冷静になろうと一度帰宅して軽い夕食など摂り、やっぱりほしくなって店に戻ってしまった。完膚なきまでの衝動買いだけれど後悔はない。 アルミニウム製のこれは「くらしの金具・里山(りせん)」という工房のお作で、眩い金色はなんと草木染め、しかも玉ねぎを用いて出したものなのだそうだ。 手作りの品らしく皿の縁は少しだけ歪で、そのゆがみが生むむにっとしたシルエットが大変に愛おしい。 持ち帰った皿を軽く水ですすいで、さあ我が家での初仕事。ベビーチーズと、頂き物のいくらを盛ってみた。ベビーチーズはお写真を撮る前にちょっと齧ってしまったけど……。 どうでしょう? 可愛くないですか? 齧ってしまったベビーチーズの凸凹からでさえ、なにがしかの美しさを感じ取れてしまいそうだ。 素敵なお皿が家にあると、それだけで日常が少し違って見える。このお皿には何を乗せようかと考える時間は、えもいわれぬ豊かさを我が家にもたらしてくれた。生活のうるおいというやつだ。 ……なんて高尚なことを言いながら、乗っかっているのはいつものお酒のつまみ(しかも齧りかけ)なあたり格好はつけきれないが、まあこれも生活ということで。 お二人にこの可愛いお品を「見て見て!」したい、ただそれだけの日記でありました。

まれびと来ませり

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 5月19日の日曜日は文学フリマ東京38が開催された。 前2人の日記を見てもわかる通り、むらくもやまの3人は全員出店側(全員別サークル)としての参加だ。 朝、会場最寄りの流通センター駅では、前方にやまおり亭さんを発見した。 前回は駅の階段で草群さんの折りコンと後ろ姿を見かけたし、確か前々回は展示場入口付近でやまおり亭さんとすれ違った。 規模がでかくなったわりに目に入るところにいるもんである。 今回売り子に来てくれたLさんは、ボードゲーム関係でここ1~2年仲良くさせてもらっており、文学フリマは初参加だが、コミケやデザフェスにはよく一般参加するし、ゲームマーケットでは出店側なので1から10まで丁寧に説明しなくても、ポイントさえ伝えれば釈迦に説法なくらいで一人で任せて大丈夫だった。 特に今回はLさん自身が制作した「りんごかるた」も頒布するし、新刊のテーマとなっているおばけキャッチ大会遠征については、耳タコなほど話を聞かせているので、説明はばっちり、安心というものだ。 そういうわけで2時間ちょいは人ごみをかきわけながら買い物にいそしむことができた。 頑張って隣の第一展示場まで行きましたよ。 律儀に一般入場の列に並んでみたら(というか最初それしかないと思ってしまってうっかりしばらく並んでいた)、有料化することでの混雑緩和とはなんなのかというほど長蛇で、それはもう次回から会場はビッグサイトになるは必然。 いくつかカタログチェック漏れで立寄れないサークルもあったが、それはまあいつものこと。不義理をしていたらすまねぇ。 人の顔を覚えないひじきながら、回数をこなして言葉を交わせば少しずつは顔見知りも増えてきて、わずかな時間でもおしゃべりできるのが嬉しい。 文学フリマぬいぐるみ部のNさんとは先週中華食べ放題と散歩をしたぶりじゃないか。イベント会場以外で遊ぶ実績ができると、またちょっと親しみの度合いがランクアップしたような気がする。次に会うのがイベントではない可能性があるのだ。 売れ行きとしては、フィナンシェレビュー本があるとないとで(そしてその宣伝が拡散されるいかんによって)忙しさが変わるのだが、今回ヤクザは引っ込めたのもあって、穏やかなものだった。 新刊のおばけキャッチは、ボードゲーム界隈ではメジャーなゲームでも文芸には関係がないしな。 ただ、逆にボードゲームイベントじゃないのにりん

遠足前日

遠足の前日はわくわくして目が冴えて眠れない、という話をよく聞くが、どちらかというとわたしは憂鬱になるタイプである。 憂鬱、というか面倒なのだ。いつもと違う時間のいつもと違う集合場所が。 普段の学校生活が苦でなかったから、特別感ブーストがあまりかからなかったのかもしれない。遠足とか修学旅行がが嫌なわけじゃない。ただ、もうちょっと寝かせてくれと思っていた。あと、駅前広場やなんかで並んでる待ち時間は好きじゃなかったな。あの、ただ定刻を待つだけの時間。ちゃんと戻って来るから好きにさせろと思っていた。 今思うと、目つきの鋭い子どもだったと思う。きっとあれが思春期だ。尖ってたなあ。 今でも集団で足並みを揃えるのは苦手だ。集団、っていうものにあまり意味を感じないんだと思う。大勢でいることの圧力というか、周りが見えなくなってしまうのも怖いと思う。 大人になって久しいが、所属する場所を選べるようになったのは良かった。そのぶん責任も伴うし、仕事に至っては食い扶持がかかっているけれど。 子供の頃、同級生と「何のために勉強するんだ」という話になったときに、「勉強ができたほうがいろいろ選べるから」と答えていたおぼえがある。勉強自体面白かったが、それを言うと奇異な目で見られるので冷めた方向に言葉を選んでいた。いずれにしても感じの悪いやつである。 話がそれた。 こんな話をはじめたのは、明日が半年に一回開催される文学フリマ東京の日だからだ。 やまおりさんの克明なワイヤー工作の記録でも明らかな通り、文芸をはじめとする創作あるいは自家製本、リトルプレスに関わる人間の一大イベントであり、地方からの遠征組も少なくない。 近年、特にコロナ禍以降規模が拡大し続け、出店者は情報発信に余念がない。そうしないと膨大な作品数の中で人知れず埋もれていくからだ。 いや、大変なことですよこれは。 いつもなら憂鬱な気分も拭えないでいるところだ。決められた時間に従って動くというのがやっぱり苦手なのだ。かといって時間が決まっていなければメリハリのない日々を過ごすことになるので、外的圧力も大切なのだけど。 社会生活とは…。 最近日常のあれこれに行き詰まりを感じていて、だいたいは時間の経過とちょっとした心がけで改善できることなんだが、どうも鬱々としてしまっていけない。 そういうタイミングで、明日みたいな大きなイベントがドカンとあるの

わくわくワイヤーネット

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きたる5/19(日)、文学フリマ東京38という文学系作品の即売会イベントが開催されることは(少なくともこの交換日記を回している三人にとっては)周知の事実であると思われる。 だって三人とも出店者として参加するものね。日曜日はよろしくお願いします。 そんなわけで、この文学フリマ東京への出店準備の一環として、出店ブースのレイアウト決めをした。 私に割り当てられたスペースは、会議室机の半分。数字にすると横幅90cm×奥行45cmの長方形だ。そこに、イベントで頒布するものたちのすべてを収めるのである。 今回は新刊を含め、6種類の本を持っていく。私にとっては史上最多の持ち込み数だ。加えてお世話になっている別の文学イベントのチラシをお預かりし、名刺の代わりにと葉書サイズのエッセイまで、それも2~3種類を用意しようとしているのだから、卓上のレイアウトをきちんと練っていかなければ会場で慌てふためくことは必須。 いつもイベント前日、それも夜の十時を過ぎた頃にようやく「あっ、レイアウトどうしよう」と焦り始め、焦りのまま「60%くらいしか確定できていないが、あとは会場でよきようにやりましょう」と己の華麗なアドリブに期待を込めて、言い換えれば半ばやっつけでブースのレイアウトをなんとかしている人間だけれども、今回ばかりは念を入れて入れすぎることはないだろう。まさかイベントの6日前からブースのレイアウトについて思いを巡らせるなんて、こんなに計画的なイベント参加は初めてじゃないだろうか。皆さんはどうですか? さて。いつもは百円均一のショップで買えるワイヤーネットを卓上に立て、そこにポスターを貼ったり本を立て掛けたりしていた。いたのだけれど、さすがに本が6種類となると、ワイヤーネットで作った即席の壁だけでは如何ともしがたい。具体的には、壁掛けのマガジンラックのようなものがほしい。 「ワイヤーネット 設営」でWEB検索したところ、こんなページを見つけた。 ワイヤーネットを利用した同人誌展示用什器。一部改良しました。(要 工作力) https://togetter.com/li/1216585 そうそう、これこれ! こういうものがほしいと思っていた! とはいえ先に挙げたページにて作られているものは「要 工作力」と但し書きがあるとおり、製作の難易度がやや高い。それに私の持っていく本たちのサイズを鑑みるに、

フリックオフ!

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黄金週間を満喫し、日常に戻ること数日。 年末年始休暇にも同じことが言えるが、休み明けがいきなり月初なのはやめていただきたい。 私の今の仕事は毎月1〜10日くらいにやることが多く集中し、15日以降に落ち着く。 つまり、休みなのはいいが出社した途端フルスロットルなのだ。体よ、耐えろ、耐えてくれ。 シルバーウィークを見習いなさい?それはそれでどうでもよくなって出社する気が全く起きないわよ。 連休の前半は、ボードゲームカフェで遊ぶことが多かった。 私はボードゲームガチ勢ではないのだが、おばけキャッチが御縁で仲良くなった人とはボードゲームで遊びがちである。共通言語だからね。 ボードゲームは同人ゲームも含めれば星の数ほどあるので毎回新しいゲームで楽しむことができる。 繰り返し遊ぶことで熟練する技のぶつかり合いもいいが、皆が初見のワイワイ具合が私にはちょうどよい。 とか言いながら、7日はおばけキャッチで遊んだ。技ぶつけてんじゃねぇか。 Xで知り合ったPさん(この日初対面)が人を集めてくれて、 9人くらいでリーグが行われ、ひじきは無事に1位をかっさらった。 Pさんも私と同じ何も練習しなくても速い天才型の人だったが、私にこてんぱにされたことにより、努力します!と東京おばけキャッチ部への入部を前向きに検討してくれているようだ。 天才型が努力したらどうなるかワクワクするね。 とか言いながら、連休明けの12日もボードゲームカフェに行った。 7日に顔を合わせたばかりのPさんの誘いである。 ひじきはよく人たらしって言われるけど、誘われたらホイホイ行くのは、私がたらされてる側だからだと思うんだよな。 「クラスク」という卓上ホッケーのようなゲームで遊ぶ。これもボードゲームのひとつである。 マグネットが内蔵されたピンのようなものを操ってボールを相手のゴールに6点先に入れたり、お邪魔マグネットを相手に2個くつけたら勝ちというシンプルなルール。 自分のピンが制御不能になったり、オウンゴールすると相手の得点になってしまう。 このクラスクだが、日本大会、世界大会が開かれるほどメジャーで、秋葉原のボードゲームカフェには日本チャンピオンにして世界3位の実力者がおり、毎月道場が開かれたり、段位が独自に設定され、普段もクラスクしかやらないなら割引になるクラスク割がお店のプランにある。 私は5年前に一度体験しただけで

怠惰と締切

すごいな、暦通りの四連休がはじまってしまった。 前職まで「ゴールデンウィークこそ稼ぎ時」だったので、この時期にぼんやりしてられるなんて嘘みたいな気分である。 そんな今日は、起きては二度寝三度寝をして、気づけば昼を過ぎていた。 こんなにいい天気だというのに。 最高。 さて、締切マスターやまおりさんの前で申し上げるのもなんだが、ここ数日はいくつかの締切を倒すことができた。 友人の同人誌の表紙デザインと、 ひじきさんとこの「じゃがアンソロ2」と、 SNS上で小説の書き手を当て合う「ぷちヘキ企画」。 みんな同人イベントがらみのもので、久しぶりにぐっと創作に集中できて楽しかった。 やっぱり私は自分が書くもののトンチキ具合が大変好きなので、今後も諦めずに書き続けようと思う。 ところで、ゴールデンウィークは自炊で好きなものを好きなだけ食べようと思って昨晩仕事帰りにスーパーに寄ったのだが、精肉コーナーがバッタの大群でも通ったかというくらいにがら空きで買い物が中途半端になってしまった。くそう、しこたま買い込んであとは適当に組み合わせるだけと思っていたのに。みんな考えることは同じなのだ。休みには肉を食べたいのである。 そして、バッタには雑食のものもいるらしいがさすがに生肉は食べないだろうな。 生肉の代わりに冷凍の唐揚げ餃子やらエビやらをカゴに放り込み、米は重いので通販に頼って、この連休は籠城する気満々の構えだ。 一日くらいはお出かけするかもしれない。 最高。