金色のうつわ
三人ともが文学フリマ東京にまつわる日記を書き、最後にひじきさんが素敵なお写真とともに楽しいアフターご飯の話をまとめてくれた。なんだかようやく文学フリマが終わったような心地だ。 文学フリマが終わった。それはつまり、次のイベントに向けた本の原稿執筆が始まるということを意味する。しずしずと書いております。 さて、しずしずなどと形容しつつ、実際はそれなりにカツカツなスケジュールでカチカチとキーボードを叩いているここ数日である。そんな日々のなか、仕事の手を意図して止めた「完全オフの日」に、近所の店で新しいお皿を買った。 手のひらにすっぽり収まる、丸くて平たいお皿だ。 散歩がてらに入った初めての店で一目惚れをし、とはいえちょっと冷静になろうと一度帰宅して軽い夕食など摂り、やっぱりほしくなって店に戻ってしまった。完膚なきまでの衝動買いだけれど後悔はない。 アルミニウム製のこれは「くらしの金具・里山(りせん)」という工房のお作で、眩い金色はなんと草木染め、しかも玉ねぎを用いて出したものなのだそうだ。 手作りの品らしく皿の縁は少しだけ歪で、そのゆがみが生むむにっとしたシルエットが大変に愛おしい。 持ち帰った皿を軽く水ですすいで、さあ我が家での初仕事。ベビーチーズと、頂き物のいくらを盛ってみた。ベビーチーズはお写真を撮る前にちょっと齧ってしまったけど……。 どうでしょう? 可愛くないですか? 齧ってしまったベビーチーズの凸凹からでさえ、なにがしかの美しさを感じ取れてしまいそうだ。 素敵なお皿が家にあると、それだけで日常が少し違って見える。このお皿には何を乗せようかと考える時間は、えもいわれぬ豊かさを我が家にもたらしてくれた。生活のうるおいというやつだ。 ……なんて高尚なことを言いながら、乗っかっているのはいつものお酒のつまみ(しかも齧りかけ)なあたり格好はつけきれないが、まあこれも生活ということで。 お二人にこの可愛いお品を「見て見て!」したい、ただそれだけの日記でありました。