わくわくワイヤーネット

きたる5/19(日)、文学フリマ東京38という文学系作品の即売会イベントが開催されることは(少なくともこの交換日記を回している三人にとっては)周知の事実であると思われる。

だって三人とも出店者として参加するものね。日曜日はよろしくお願いします。

そんなわけで、この文学フリマ東京への出店準備の一環として、出店ブースのレイアウト決めをした。

私に割り当てられたスペースは、会議室机の半分。数字にすると横幅90cm×奥行45cmの長方形だ。そこに、イベントで頒布するものたちのすべてを収めるのである。

今回は新刊を含め、6種類の本を持っていく。私にとっては史上最多の持ち込み数だ。加えてお世話になっている別の文学イベントのチラシをお預かりし、名刺の代わりにと葉書サイズのエッセイまで、それも2~3種類を用意しようとしているのだから、卓上のレイアウトをきちんと練っていかなければ会場で慌てふためくことは必須。

いつもイベント前日、それも夜の十時を過ぎた頃にようやく「あっ、レイアウトどうしよう」と焦り始め、焦りのまま「60%くらいしか確定できていないが、あとは会場でよきようにやりましょう」と己の華麗なアドリブに期待を込めて、言い換えれば半ばやっつけでブースのレイアウトをなんとかしている人間だけれども、今回ばかりは念を入れて入れすぎることはないだろう。まさかイベントの6日前からブースのレイアウトについて思いを巡らせるなんて、こんなに計画的なイベント参加は初めてじゃないだろうか。皆さんはどうですか?

さて。いつもは百円均一のショップで買えるワイヤーネットを卓上に立て、そこにポスターを貼ったり本を立て掛けたりしていた。いたのだけれど、さすがに本が6種類となると、ワイヤーネットで作った即席の壁だけでは如何ともしがたい。具体的には、壁掛けのマガジンラックのようなものがほしい。

「ワイヤーネット 設営」でWEB検索したところ、こんなページを見つけた。

ワイヤーネットを利用した同人誌展示用什器。一部改良しました。(要 工作力)https://togetter.com/li/1216585

そうそう、これこれ! こういうものがほしいと思っていた!

とはいえ先に挙げたページにて作られているものは「要 工作力」と但し書きがあるとおり、製作の難易度がやや高い。それに私の持っていく本たちのサイズを鑑みるに、ここまで頑丈ではなくともよい気がする。

そこで先のページを参照しつつ、頑丈さアップのための工程をほどほどに間引いて、自分用の什器を自作してみることにした。

まずはトランクに入るサイズのワイヤーネットを4つ購入し、それぞれを連結するためのジョインターも買う。ワイヤーネットを2つずつ繋ぎ、小さな山を2つ作るイメージだ。

……などと克明に書き記していたら一大叙事詩の様相を呈してきたので、この後はとくにキュートなお写真だけをピックアップしつつ、ダイジェスト形式でお送りしようと思う。

材料はすべて百円均一ショップで賄おうと決めた。決めたのに、プラ板用カッターはさっそくホームセンターで購入している。

この後、何度でも什器の手直しをする未来が見えたので、道具だけはちゃんとしたものを使おうと思ったのだ。

ネットを山形に組み合わせ、背面のワイヤーをカットして、ラック裏に在庫を置けるよう加工する。

文庫サイズのサンプルとして置いている『数学する身体』は私の同人誌ではなく、森田真生さんという数学者の著書である。理系科目に苦手意識のある私でもすらすら読めて、面白く、なのに扱われている話は高度であるので理解には至らずなんども読んでいる。理解できずとも読み物として、詩として心地よい文章なのだと思う。おすすめの一冊です。

切り抜かれたワイヤーが可愛い。

次は本を支えるレール部分を作る。

これは本来、配線をカバーしつつ壁に貼りつけるためのもの。

ぐいっと開いて……

ぱかりとやると、いい塩梅のL字レールになる。

これにコードフックを貼りつけ、ネットに引っかけるのだ。

薄い文庫本はコレで安泰だけれど、100ページを超えたあたりから、このレールでは支えきれなくなってくる。レールの底辺を延長しよう。

L字レールの、本を止めている鍵状の部分をガスコンロで炙ってまっすぐに伸ばし(写真では隠れているがしっかり焦がした)、同じくL字に成形した透明下敷きと合わせてコの字を作る。


プラカッターで傷をつけた下敷きを曲げているところ。

二つのL字をコの字になるよう組み合わせ、貼り付ける。コインケースは糊(ジョイントコーク・A)が乾くまでの重し。

本当はシリコン、またはプラ用の瞬間接着剤なんかで貼り付けたほうがよいのだけれど、家にはなかったので、ちょうどそこにいたコーキング材が代用品にされている。が、恐らく強度的には問題ないだろう。乾くのが楽しみだ。

――この後、コーキング材が乾いてから最もボリュームのあるA5サイズのアンソロジーをラックに乗せたのであるが、本の重さによって、コーキング接着面ではなくレール部分が曲がって使い物にならなくなることを、この時の私は知らない。先達がレール部分をやけに頑丈に作っておられたのには、ちゃんと理由があったというわけである。

けれどここで諦める私ではない。工作において大切なのは失敗の後に手を止めない粘り強さ、そして材料を無駄にすることを恐れない勇気だ。

ひとまず散らかった床を片付け、カットしたワイヤーネットも燃えないゴミに出して……

ワイヤーネット! お前! こんな簡単に手で曲げられるんかい!!

次回、「最強のニッパーかステンレス製L字アングルか、それが問題だ」

自作マガジンラックの行く末やいかに……答えは文学フリマ東京38、山折書亭のブースで確かめよう!

コメント


  1. なんか急に克明な工作レポが始まったぞ!
    展示レイアウト、毎回どうにかなっちゃったように感じるから(感じてるだけで実際は収まってない)よほど持っていくものが変わらない限り事前に考えないんですよね。あと自作するより既製段ボール製品とかだいたい金の力で解決しようとする……なので、えらい~!

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