まれびと来ませり
5月19日の日曜日は文学フリマ東京38が開催された。
前2人の日記を見てもわかる通り、むらくもやまの3人は全員出店側(全員別サークル)としての参加だ。
朝、会場最寄りの流通センター駅では、前方にやまおり亭さんを発見した。
前回は駅の階段で草群さんの折りコンと後ろ姿を見かけたし、確か前々回は展示場入口付近でやまおり亭さんとすれ違った。
規模がでかくなったわりに目に入るところにいるもんである。
今回売り子に来てくれたLさんは、ボードゲーム関係でここ1~2年仲良くさせてもらっており、文学フリマは初参加だが、コミケやデザフェスにはよく一般参加するし、ゲームマーケットでは出店側なので1から10まで丁寧に説明しなくても、ポイントさえ伝えれば釈迦に説法なくらいで一人で任せて大丈夫だった。
特に今回はLさん自身が制作した「りんごかるた」も頒布するし、新刊のテーマとなっているおばけキャッチ大会遠征については、耳タコなほど話を聞かせているので、説明はばっちり、安心というものだ。
そういうわけで2時間ちょいは人ごみをかきわけながら買い物にいそしむことができた。
頑張って隣の第一展示場まで行きましたよ。
律儀に一般入場の列に並んでみたら(というか最初それしかないと思ってしまってうっかりしばらく並んでいた)、有料化することでの混雑緩和とはなんなのかというほど長蛇で、それはもう次回から会場はビッグサイトになるは必然。
いくつかカタログチェック漏れで立寄れないサークルもあったが、それはまあいつものこと。不義理をしていたらすまねぇ。
人の顔を覚えないひじきながら、回数をこなして言葉を交わせば少しずつは顔見知りも増えてきて、わずかな時間でもおしゃべりできるのが嬉しい。
文学フリマぬいぐるみ部のNさんとは先週中華食べ放題と散歩をしたぶりじゃないか。イベント会場以外で遊ぶ実績ができると、またちょっと親しみの度合いがランクアップしたような気がする。次に会うのがイベントではない可能性があるのだ。
売れ行きとしては、フィナンシェレビュー本があるとないとで(そしてその宣伝が拡散されるいかんによって)忙しさが変わるのだが、今回ヤクザは引っ込めたのもあって、穏やかなものだった。
新刊のおばけキャッチは、ボードゲーム界隈ではメジャーなゲームでも文芸には関係がないしな。
ただ、逆にボードゲームイベントじゃないのにりんごかるたを買う人もいたり、
「最近クイニーアマンにハマって!なんてタイムリーなんだって!」と通りすがりに二度見して戻ってきた人がクイニーアマンレビュー本を買って行ったり、ペロリストもたまーにビクンとするので、ありがたいことである。
17時に閉会となり、頑張ってくれたLさんを見送る。
いつもなら隣接配置をしているAさん、Tさん、Nさんと晩御飯を兼ねて打ち上げるのだが、今回は先約があった。
会場内をスススと移動し、草群さん、やまおり亭さん、Hさん、Sさんに合流する。
そう、本日は
「むらくもやまに客人来たる」
中部地方から文フリのために遠征してくるHさんから、むらくもやまとご飯を食べたいと事前に打診があった。
Hさんは、1月のイベントで「むらくもやま日記ことはじめ」を1番最初にお迎えしてくださった人だ。
私個人はイベント以外では名古屋にフィナンシェ狩りに行ったときに2度ほどお茶をしたことがある。
草群さんもやまおり亭さんもHさんの作品は読了済みと、一方通行ではないから楽しい会になる予感がしていた。
そこに同じく中部地方在住のSさんも加わることになり、お二人の新幹線の関係から東京駅付近がよかろうとお店の候補出し、予約は私が行った。
予約担当になりがち人間ひじき、ちょうど同時期に食べログとレッティーと電話とであちこち予約しており、何かしくじったらえらいこっちゃだったが、まあ、どうせやるなら全部自分で把握していた方が楽なので、苦行ではない。
東京モノレールに乗ったところまでは全員一緒だったのだが、浜松町駅でやまおり亭&Sさんが分断され、しばらくしても来ないな~とのんびり待っていたら、先に電車に乗ったと連絡があったので追いかける。
さらに東京駅で危うくHさんをロストしそうになり、草群さんと「(東京慣れした)我々が一緒にいてもなんの意味もないのよ!」と顔を見合わせながら、Hさんを見つけ出し、つながっている地下を通ってお店の前へ。ここで、やっと5人集合となった。やまおり亭さんとSさんは、迷わないようにいったん地上に出てから辿り着いたそうである。
ちょっと草群さんの「なす」の旗をツアコンのように持たせて目印にすべきだったな。
今回のお店は、あれもいい、これも食べたいと皆で迷った結果、新丸ビルの英国式香港ティールーム「真不同HONG KONG TEA ROOM 1946」にした。
私は3月にここにハイティーをしに来たことがある。
奥の席に通され、
イベントユニフォーム「魔王」とでかでかと書かれたTシャツを着た私を中心に、右にじゃらっとした金の鎖を首に巻いたやまおり亭さん、左に金髪開襟柄シャツの草群さんという、若干治安の悪いむらくもやまが並ぶ。
なんの集まりなんだ、ティーサロンに来訪するいでたちでは決してない。
Hさんは私のことを「魔王、魔王」って呼ぶし。
側近を連れた魔王との謁見会食みたいになっておる。
料理は以前のハイティーとラインナップはほぼ変わらず、アフヌンスタンドでの一気ではなくコース仕立てで順番に出てくる形式だった。
Sさんに甲殻類アレルギーがあることを会話の端から聞きつけた店員さんが、その後の料理をエビカニなしのものに変更してくれてありがたかった。
飲み物は3杯まで選べて、お酒もあるしもちろん中国茶の選択肢も多い。せっかくなのでみんな2杯目は花が湯の中でぶわぁと開くタイプの工芸茶にした。
ここで新たな一面を見た。Hさんがお茶に詳しいのである。
草群さんが「ソムリエ!」と即座にあだ名を付けた。
バイトしていた杵柄、下手の横好きですとしきりに恐縮するが、というか凝り性の魔王の前で何かに詳しいと明言することに怯えているフシがあるが、苦しゅうない、なかなかどうして。
自分の中で比べる基準があるというのは、それだけ種類や回数をこなしているということだと思う。
私はその基準作りに真面目に取り組む過程が極端なせいで奇異な目で見られているのだけど。
今度から中国茶を飲む時はソムリエHの顔を思い出すことになるだろう。私はお茶はさっぱりなので、いずれご指導ご鞭撻をいただきたいものだ。
文学フリマに全員サークル出店しているということは、皆物書きのはしくれなわけで、特にHさんとSさんは商業で小説を書く人であり、そこにからむ話も興味深かった。
殺さずの誓い、るろうに剣心ですか?
誰が謙遜しても、それぞれの力量は存じ上げているので「ん? お前は何を言ってるんだ?」になる。
文章を創作することに対して、やまおり亭さんには環境があり、草群さんには思いがあり、ひじきはこの場では一番ゆるふわとしている。
商業になるようなものは書けないし、同人誌としてさえ作りこんだ世界観も長い文章を組み立てる力も登場人物への思い入れも読者を意識した心がけも……きりがなくなってきたが特にない。
できることしかやらないし、私にとってはいくつかある楽しいことのうちのひとつだから、人と比べて卑屈になったり何かを改めようということもない。
こうやって知己を得るきっかけになった、それだけで十分なのだ。
デザートまで腹に収め、
SさんとHさんを新幹線改札まで見送り、方向が同じ見慣れた3人で電車に乗った。
楽しいことをしてると楽しい人と会えるなあ。
ソムリエのHさん、むらくもやまは今日もこんな感じです。
おまとめ日記、ありがとうございます! むらくもやまの、ひじきさんを囲む二人が普段から治安の悪い見た目をしているのがバレてしまった……いや、しかし、楽しいひと時だったなあ。
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