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3月, 2025の投稿を表示しています

じゃがいもの ポタージュ吹きつ うぶの顔

ひじきさん主催の、「じゃがいも俳句を作ろう」の会に参加してまいりました。 じゃがいもの品種と、5・7の言葉が書かれた3種類のカードを出し合い、俳句を作るというワークショップ。 じゃがいも俳句。かなり前のことだが、その原型となったであろう遊びを、ひじきさんとそのご友人が招文堂に持ってきてくれたことがある。あのじゃがいも俳句が、満を持してワークショップに! しかも開催場所は、高円寺・読夢の湯という本屋さん。ひじきさんの日記「 銭湯に通うように 」にも登場していた、畳敷きの店内に靴を脱いで上がるという、あの面白そうなお店だ。形は違えど本屋を主催している身としては、面白そうな本屋さんなんて気にならずにはいられない。お誘い頂くや否や「参加したいです」と手を挙げていた。 会のスタートは、夜20時。30分ほど前から店の中には入れると聞き、遠慮を忘れて19:30を少し回ったあたりで店の戸口から中を覗き込んだ。 まず目につくのは、まだ青々とした美しい畳。突き当りの壁、天井近くに掲げられた大きな液晶画面。その右隣には首を振りながら我々を見下ろす、羽のあおい扇風機。 その真ん中で私を出迎えてくれたひじきさんは、なるほど、この店によく馴染んでいた。この、建て付けはちょっとマニアックなんだけど間口が広くてほっとするかんじ、ひじきさんとこのお店は、どこか似ているような気がする。 入って左手、少しだけ振り返ったところに番台めいたカウンターがあり、そこにいらした店主さんにご挨拶。こういう会に参加する折、いつも忘れてしまう名刺を、今日はちゃんと持ってきたのだ。 畳に腰を下ろし、ゆるゆると会話をしているうちにメンバーが集まってくる。ここにいる人みな、ひじきさんのご友人なのだから面白い。ざぶとんを譲り合い、めいめい名札を書き、ボールペンを回して……そんなこんなで、会が始まる頃にはなんとなく緊張も解けていた。 思い返せば、こんなにも早く緊張が解けたのは、畳敷きの部屋でひとつの卓を囲むという状況によるものが大きいのかもしれない。見知らぬ人の前で靴を脱いだ心もとなさを携え、ぺたぺたと歩く……どこかとぼけたこの空間で、よそ行きの顔をし続けられる人はそう多くはないのかも。 じゃがいも俳句の細かいところは、今後、実際にワークショップに参加する方々のためにも割愛するとして―― 私が一番面白いなと感じたのは、すでに用意...

じゃあ、説明しますね

 インストが上手になりたい。 そう思うことが増えた。 インストとは、ボードゲームのルール説明のことである。 遊ぶ前にルールがわからなければ「すいません、インストお願いします」 などと使う。 つまり、私の説明を聞いた人が「わ~これからやるゲーム楽しそう~」って気分になって、ゲームのおしまいまでのざっくりとした流れとまず何をしたらいいかがわかる状態になってほしい!その説明を上手にやりたいと思うことが増えた。 遊んだことがある、と、ルールがわかる、と、ルール説明ができる、は似ているようで違う。 たくさんのボードゲームを遊べば遊ぶほど、1回遊んだだけではルールはなかなか覚えられないし(やってくうちに思い出すはよくある) ルールを知っていても、人に伝わるように説明するには経験やちょっとしたスキルが必要だと感じる。 インストは、遊ぼうとするみんなが大枠をつかみ、あまり迷わずにゲームスタートできる状態にすることが理想だ。 細かいルールは一度に聞いても忘れてしまうし、その場にならないとイメージがつかないので、その都度繰り返したり補足していけばよい。 私はボードゲームゆるふわ勢として、ボードゲーム好きの友人やボードゲームカフェでいくつものインストを受けてきた。 ずっと教わる側だった。 だいたいの皆さんは抵抗なくインストを買って出てくれるという時点で、インストが上手である。 私が好きなインストの出だしはこうだ。 「これは~になって~しようぜってゲームです」 冒険家になって洞窟探索しようぜだったり、 商人になって競り落として富を増やそうぜだったり、 スパイになって暗号を解読しようぜだったり、 ゲームのコンセプトイメージから話すと、世界観を想像し、ワクワクしたり、みんながこれからやる手順の意味を理解しやすくなる。 ゲームなんだから楽しくなるに決まってるのだが、いきなりやらなければならないことだけ言われても、なんのためにサイコロ転がしてカード引いてるのか、ぼんやりでもわかるのとわからないのだとおもしろさが伝わる速さが違う。 プレイヤーがやることを説明するときは、 なるべく迷いなく淀みなく簡潔に言えるといい。 「やることは~か~、これだけ!」 初めてのゲームに抵抗感を感じないように、カラッと言い切ってくれると、単純な思考の私は安心する。 こちらが「え~っとなんだっけ、ちょっと待ってね」...

本の読める日

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まちなかに住んでいると、「なんかおいしいもの食べたい」が徒歩圏内で叶えられる喜びがあるなあ、と実感する休日。 ここ十日ほど、「頑張れば頑張るほど貧乏くじを引く」としか言いようがない理不尽な目にずいぶん遭って、似たような境遇に置かれた周りの心ある仲間たちとなんとか励まし合い、昨日土曜日にとどめの一発をお見舞いされて風呂にも入らずにふて寝したのだが 翌日曜日の今日、己に褒美を与えんとする意欲が蓄積した疲労に勝り、昼過ぎに街に繰り出したのであった。 豪雪の地域もあるというのに東京はすっかり春の陽気、なるほどだからお布団から出るのが容易だったんだと上着もなしに家を出て、溜めこんだクリーニングを出し、送るべき荷物も発送し、すっきりした気持ちで歩きながらランチの検討に入る。 ラーメンは遅い時間でも食べられるし、チェーン店の気分でもなし、なんとなく感じのいい店で過ごしたいなあと考えて、洋食のらすぷーるへ。 ここ、サラダのドレッシングが異様に美味しいのだ。日替わりランチのハンバーグは角のとれたやさしいデミグラスで、例によって例のごとく、吸い込むように平らげてしまった。 フロアを担う明るいお姉様方の心配りが行き届いていて、こちらの何気ない一言にもポンと小気味いい返答があって、子連れも年配のお客さんものびのび食事を楽しんでいるし、本当にいいお店だなあといつも思う。 それからカルディでうまそうなものを買い込み、芋洗いの如き通りを縦横無尽に歩き通してバースデーカードやらお花やら、以前から目をつけていたマーガレット・ハウエルのカフェでキャロットケーキも入手し、通りがかりにうっかり徳利を買いそうになったが一度見送り、本屋でピンときた文庫本を連れ帰って、それでもまだ午後四時すぎ。 このまま帰るにはまだ惜しい、といつもの焼き鳥屋さんをのぞいてみたがしっかり繁盛しており、駅前の通りを脳内でざっとおさらいしてみたところ そうだ 鳥貴族があるじゃないか 焼き鳥好きを公言しておきながら鳥貴族は行ったことがない、と言うと小さく驚かれるもので、いつかは行きたいと思っていた。最寄りのトリキは駅前ビルのだいぶ上の階で、見るとビル前にいつも若者がたまっているので立ち寄りにくかったのだが、聞けば一人客にもやさしい席配置になっているという。 ふくらんだエコバッグには買ったばかりの文庫本。軽く焼き鳥をつまみつつ、呑みなが...