脱皮するかとおもった

十中八九乾燥のせいだし、そこにこの時期花粉も加わるので原因は明白だけれど
頬のとくに顎骨まわりの肌がぐるっと毛羽立ってしまい、いよいよ別の生き物になったかと慄いた。

はじめは「どうもカサカサしてるな」ぐらいだったので手持ちで保湿に励んでいたのだが、
例によって仕事終わりにざぶーんしに行ったら温泉の効能なのか毛羽立ったカサカサがあれよあれよと剥がれていく。以前、洗顔したら顔からきれいな鱗が剥がれてびっくりっていう掌編を書いたことがあったが、まさにそんなかんじ。剥がれ落ちた鱗はきれいだったけど洗い上がった顔は代わり映えしないってとこも同様。でもまあザラッと感はなくなったので良し。バイオリズム的にも、ターンオーバーのタイミングだったようなのでこんなもんだろう。

というわけで、今のところまだ人間をやっている。
食べられるときに食べ、寝られるときに極力寝ているので体調は悪くないが、絶妙なペースで締め切りが波状攻撃をかましてくるので不摂生になりがちだ。そりゃ肌も荒れますわな。
いま、コラボカフェのメニューにグッズ、会場装飾のアイデア出しから制作進行までの管理をほぼひとりでやっていて、これがまた諸事情でスケジュールが詰まってしまったもんで勤務中はなんだかずっと走っているし、他の案件も進行中なのでどれがどの話だかだんだんわからなくなってくる。個人的に一時期どっぷりはまって今も大好きな作品なのでかえってやりこんでしまって、いいものはできてきてるんだけど間に合わなきゃどうしようもないのでそろそろ潮時だ。

いや、もうどうにかなるところまでは来ている。
あとはホレ、ほとんどプライドの問題よ。

ものづくりって種類にもよるけれど、時間をかければいいってものでもない。こちとら職人技よりも一発芸に近いことをやってるので、ビュンと春一番を吹かせてしまえばあとは次々花開いていくものなのよ。

そんな南風が吹き荒れた三連休、最終日はよっこらしょと起き上がって観劇してきました。
『NUKIDO-外から見るか 芯から見るか-』
時代劇の斬られ役(外)と主役(芯)を巡るお芝居。
ずっと斬られ役をやってきた大部屋役者の面々が、ぽっと出で新春特別ドラマの主役に起用されたイケメン俳優のあまりの出来の悪さに絶望したり憤ったり。誰だこんな配役にしたのは、できねえならやめちまえと言うものの、芝居は華のある主役がいてこそ、観てくれる人がいなければ成り立たない。当の主役は何が良くないのかもよくわからないまま、一生懸命刀を振り続ける。
この主役のキャラがとても良くて、バカ正直で素直なので周りはイライラしつつも邪険にできない。でも刀を振らせると動きが独特すぎていかんともしがたいので可笑しいやら情けないやら。撮影の日は近い。さあてどうするどうなる。

このお芝居、ミュージカル刀剣乱舞で活躍している俳優が出るというので知ったのだが、個性的な大部屋役者役のおじさんたち(とあえて言わせていただく)はもう絶対面白いし、殺陣のお芝居にも興味があったし、刀ミュでしっかり刀を振れるとわかっている主役がどうやってへたくそを演じるのか成長過程を観てみたかったということもあり、勢いでぱっとチケットをとったのだった。

いやすごい。おじさんたちと生きのいい若手が喋ってるだけのシーンがこんなにおもしろい。どこまでが台本でどこからがアドリブなのか、やいやい言い合ったりたまにやりすぎて笑っちゃったり、それでふと本音が溢れたりするからこちらもうっかり泣きそうになる。時代劇や殺陣の用語の解説も巧みで、おかげでしっかりお話についていくことができた。

私と同じで刀ミュから入ったんだろうなっていう女子と、劇場の常連なんだろうなっていう年配の方々が入り混じってみんなで笑ってる雰囲気もとてもよかった。
途中、あまりにツボに入りすぎて「うぐ、グフフ」って気持ち悪い声が出てしまい、隣の御婦人が若干引いていた気がする。もういっそ大口あけて笑えばよかった。次があればそうする。

観劇のあとは、相変わらず強い風に吹かれながら北千住の駅をぐるっとさんぽして、芋洗い状態の東京駅でラーメンを食べて帰った。

そんな春一番の日。
脱皮はできなかったが面白いことはまだまだあるので、もうしばらく人間でいる。

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