そういうタイミング
この三連休は、ほとんど家にいた。
買い物がてらの散歩はしたが、
一日中外で遊びまわっているということがなく、パソコンに向かっている時間も多かった。
家でパソコンに向かうことができるようなタイミングになったのだ。
分かりやすく言えば、夏くらいから「同人誌作りたくない期」だった。
スランプなんて仰々しいものではない。
私は同人誌にそこまでの熱をかけていないので焦りというほどのことはなく、
これはむらくもやま日記向きの話題かなと思い、書き留めておくだけのものだ。
原因をもっともらしく挙げるとするなら、わかりやすいのは仕事だろう。
基本的には、休日の遊びは遊び、平日の仕事は仕事で切り替えられるような、薄給ながら気楽なサラリーマンをやっているのだが、
今の部署に新しい仕組みを導入するにあたり、昨年末からずっと一人で社内外で調整を求められる地味な負荷がかかり続けている。
ついでに目の前には「そういうの許されるんだ……すごいな」と感じる不毛なやり取りが毎日繰り広げられていて、ずっとこれが続くのだろうかと、くさくさしてもいて、そういう積み重ねがフィジカルやメンタルや創作関係のアウトプットにまで影響したような気がする。
もちろん自分が意識しない複合的な要因もあっただろうし、単純に「疲れちゃってた」で済ませるのが案外近いのかもしれないけど。
夏くらいからよりその感が強くなり、
もともと書かない小説をひねり出さないのはもちろん、
noteに書き溜める長文日記のテンションにもなれないし、
パワーポイントも職場でずっとスライド作ってるせいか、家でいじる気は起きず、食べ物ネタや写真はあるのに、ペーパーのデザインすら、納得できる感じのが浮かばない。
こなせたかもしれないプライベートのタスクは無視していた。
「余裕を持ってこのくらいやっておいた方がいいこと」と自分が設定したタスクなので、できなかったところで誰にとがめられるわけでもないし、楽しいことは他にいっぱいあるので(ああ、無為に過ごしてしまった)なんてしょんぼりすることもなく、つまり困らないんだけどね!タスクをこなせない自分にちょっとがっかりするだけで。
おいしいご飯を食べ、散歩に行き、ボードゲームを遊び、旅行をし、イベントで交流し、インプットとしては別段問題はない。
人と会う予定が入らなくても、一人遊びの候補は色々とある。
その一人の時、3連休まるっと予定が空いていても創作のためにパソコンに向かうという選択肢がきれいさっぱりなかったなという8・9月だった。
そうこうしているうちに、文学フリマ東京が迫ってきた。
11月22日・23日は幕張ではボードゲームのイベント・ゲームマーケットが開催され、本来なら2日連続で私自身がそこにいて、おばけキャッチの布教に勤しみたいところだった。楽しいことは確約されている。
でも、文学フリマ東京は10数年参加し続けているホームイベントだから、いつも通り深くも考えず申し込んで
22日ゲムマ、23日文フリ
に出るということにしていた。
せめて、会場が両方ビッグサイトだったらはしごできたのにね!(そうかな?)
そういえば、10月18日に大阪に行った折、Tさんとカレーを食べながら「文フリ東京は気軽に出展しようってイベントじゃなくなりましたよねぇ」という話をした。
確かに出展料は値上がりし、会場はでかくなり、事前の宣伝もせず、3000を超す出店サークルの中に漫然と埋もれているだけではコンビニで作ったコピー本が1種類だけという簡素な設営の素人の机に、通りすがりの人が足を止めてもらえる環境ではなくなった。
「全然売れなかった」「誰にも見てもらえなかった」と、しょんぼり帰る人は多くなったかもしれない。
私は惰性ともいえる律義さで、なんか知らないけど知らない人に買ってもらえた小さな会場の時と変わらないテンションのまま申し込み続けているし、ありがたいことに隣接したり挨拶してくれるような知り合いができたので、あんまり売れなくても、つまんないまま終わるということはないのだが、今から参入する人たちの心持ちは違うだろう。
そうですねぇ、どうせ出るならお店屋さんごっこを楽しみたいですねぇなどとのほほんと創作イベントトークを交わしていたのだが、
でも、そうね
今回は
ゲームマーケットを蹴ってこっちにきているという(勝手な)ハードルがある。
ゲムマの宣伝ばかりに勤しみ、前日に手癖で既刊在庫を鞄に詰め込み、当日それを並べるだけでぼけーっと過ごしていたら、
「文フリよりゲムマの方が楽しかったはずなのになー」
って思ってしまいそうで、
それは……なんか、さあ
どうせ出るなら、あんまり思いたくない。
文フリが始まる前にも開催中にもちょっとしたわくわくというか楽しみを作っておきたい。
知り合いに見て見てしたい。
ということで新刊を作ろう!と、5月に出展を決めた時点から思ってはいた。
別にイチからひねり出さなくてもいい、WEBに載せていた再録をしよう。
加筆修正なんかしなくても本の形にすれば新刊じゃないか。
でも、8月の連休も
9月の2回あった3連休も
こんだけ自由な日があったら出来上がるだろうという見込みで空けておいた土日を
「んーその気分じゃないのよねぇ」と私はパソコンの前に座ることを拒否した。
嫌なものは無理強いしても何もしょうがないので散歩に出た。
寺の瓦などを見ていたのもこの時期だ。
同人誌作りたくない期だわ、このままじゃ本当にできないかもなーとうすぼんやり思ってはいて、
でもそれは置いておいても体はリセットできるような休みを求めていたので、
9月末に3日間実家で過ごした。
睡眠も足りていなかったのでぐーぐー寝て、
上げ膳据え膳で三食おやつをぐもぐと食べ、車がないとどこにも行かれない閉鎖された環境で、パソコンに向かってみたら、
わりと回復したのか集中でき、
ゲームマーケットの前に毎日更新するおばけキャッチ記事は書ける目途が立った。去年は2カ月前に下書きを埋めていたから1ヶ月以上の遅れだ。
新刊はWEBに載せていたものを縦書きに直して、なんとなくページ数を割り出した。
書き下ろし部分を書く気はまだ起きなかったが、千字ちょっとのことである。どうにか埋まるだろう。
印刷所の仕様を比較し、入稿日を決めていくうちにだんだん
本になるかもしれん
という気がしてきた。
山ごもりにも似た休養は大切である。
10月は負荷のかかる仕事が本格稼働前のひとつの山場を迎え、
残業は増え、毎日起こる頭痛は薬を飲んでも効かなくなるなど、
なけなしのパフォーマンスがさらに落ちる状態ではあったが、
10月末に、頼んであった表紙が出来上がった。
私は個人誌であっても表紙は人に作ってもらいたい思いが強く、毎回ものすごく素敵な作品に仕上げてくれるNさんに今回も丸投げした。
Nさんの素晴らしさは別の機会に語るとして、これで俄然同人誌を作りたい意欲が高まり、
最低限書き下ろすべき部分を埋め、調子に乗って過去の部分も加筆修正を入れることさえできた。はい、本づくりワクワクキター!
ヤクザが主役の話なので、常日頃から視聴しているヤクザ映画の要素を呼吸をするように取り入れられる。はい、インプット無駄じゃなーい!
そして、11月最初の三連休が始まる。
1日目に
印刷所に同人誌を入稿(10月31日の夜に出したら不備アリであわてて出し直したのは内緒な)
さらに前々から作りたかった
ゲームマーケットで使用するサークルの敷布と
ゲームマーケットで配布する両面カラーチラシを
数時間でちゃちゃっとパワーポイントでデータを作って入稿
1日3入稿という、あんまりやらない進捗を果たした。
1入稿でもアドレナリン出るのに変になっちゃうよ。もっと落ち着いて見直す期間を設けても間に合ったのではないですか、あなた。堰が切れていませんか。
おばけキャッチnoteの更新分を書き足し
ウェブカタログやBOOTHを整え
文学フリマ東京のお品書きを作り
こうしてむらくもやま日記を書いている。
タスクが減って、ちょっとすっきりした。
やりたいと思ったときにやれないことも、
前にやれたことができなくなったかもと思うことも、
いつまでこうなのかしらと渦中はもやもやするが、すべてのことは変わっていく。
というわけで、残業はしばらく続くが、文学フリマ東京では焼菓子任侠BLの本が出ます。
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