のっかったっていいじゃない
第11回TAMAコミ(オリジナル作品の販売イベント)に出店サークルとして参加してまいりました。
ブースはひじきさんのお隣。初めて参加するイベントで、こんなに大変心強いお隣さんもそうない。
参加サークル数は450強だったらしい。会場にはキャラデザコンテストやオリジナル缶バッジ&Tシャツ制作ブースを始めとした様々な「+αのお楽しみ」が用意されていた。サークル参加をしている身でそれら「お楽しみ」を味わうには、一時的に自分の販売スペースから離れなくてはいけない(=販売機会を放棄しなければいけない)。……のだけれど、なにしろゆったりとしたイベントであったものだから、「まあいいか、今日は私の楽しみを優先しましょう」と無理なく思考を切り替え、なんの憂いもなく販売機会を放棄して様々のお楽しみを享受することができた。
それも親しく頼もしいお隣さんあってのこと。こういうイベントに出店するとき、私は大抵ひとりだったのだけれど、お友達と示し合わせてゆくのも大変楽しいものですね。
TAMAコミに参加したならばぜひ食すべきと名高いマネチキ(唐揚げ)もしっかり堪能してきた。
見た目は衣しっとり系なのだけれど、齧れば薄い皮がパリっと音を立てる。味付けは醤油系? コンソメの気配もややあった気がする。かなり濃いめの味わいで、調味料など何もつけなくてもぱくぱくと食べてしまえた。腹がくちくなり、塩分もしっかり補給できるので、かなりイベント向けな一品だ。
麻辣湯。
最近なんだか流行っているらしい、中華系旨辛春雨スープ。
それが私の中の、麻辣湯の認識であった。
TAMAコミ開催の地たる東京はJR八王子駅の周辺を探ると、駅から徒歩5分ほどの場所にチェーン店ではなく、かつ評判もよい、麻辣湯の店があるらしい。……ということで、イベントの終了後に食べてまいりました。
取っ手の近くに「押引」と張り紙がしてある、どっちつかずなガラス扉を押し開けて入店。
店内には野菜、魚介、肉、なんだか馴染みのない練り物のようなものなど、様々な食材が小ぶりな食缶にて陳列されていた。
この素材たちをビュッフェ形式で選んでいくことこそ、麻辣湯の醍醐味なのだそうで。客はめいめい、好きな素材を好きなだけ選び、キッチンに渡してスープとともに調理してもらう。ここで選んだ食材の重さによってお食事のお値段が決まる……というシステムが一般的なのだとか。
確かに、この素材ビュッフェ、ものすごく楽しい。
まずはパン屋さんのようにそれぞれがトングを持ち、食べたい素材を選んでいくわけだが、パン屋でいうところのトレイに代わり、食べ物の器としては使ったことがないような特大のプラスチック製タライが用意されている。生の食材は嵩張るものも多いから、大は小を兼ねそうではあるけれど、それにしたって特大だ。銭湯に備え付けてある黄色いタライを縦にふたつ積み上げたくらいの容積がある。
その特大のタライを抱え、トングで素材たちを威嚇しながら選定に入る。この過程も、また楽しい。普通の食べ放題ビュッフェのときに私が考えることといえば「何を食べたいか」「更に盛り付けた食べ物同士の相性」「必ず食べておきたい一品はどれか」あたりだが、麻辣湯においてはココに「火を通すとどうなるか」「スープと合わせた場合の味わい」という要素が加わってくる。ゲームの複雑さが一段上がるわけだ。
この感覚、さながら一体のポケモンがふたつのタイプを有しうるようになったときの如し。
慎重に、しかし初心者の奔放さでもって素材を選んでいく。完成形を想像しつつ統一感のある一品になるよう吟味したはずなのに、白身魚の切り身とラム肉が同じタライに入っている。豆腐麺と湯葉と凍み豆腐という大豆の三連星が、いつの間にかそこにある。
そうそう、ひじきさんのオススメ食材、「魚卵団子」と「鴨の血」も忘れずに。
そうして完成したのがこちら。
いざ食せば、これまた楽しい。
どの食材を箸で摘まんだ時も、今回のビュッフェの思い出と次回の展望が脳裡に浮かぶのだ。「これは入れて正解だった」「これは次回から半量でよい」「これはあの食材と合わせたほうがよいかもしれない」等々……こんな考えが浮かぶのは、全ての食材を自分で選んでいるからこそだろう。ビュッフェスタイルの旨味を存分に楽しめる、エンタメ要素満載な食事体験だった。
麻辣湯。ひじきさんが話題に出さなければ、自分から食べにゆこうとは思わなかっただろう。
私は興味の幅が狭いタイプなので、自力で探し出せる「お楽しみ」には限界がある。
思えばTAMAコミも、マネチキも、麻辣湯も、誰かの薦めがなければ触れることなく過ぎていっただろう「お楽しみ」たちだ。
ひとつ前の草群さん、ひじきさんの日記を読んでいたからこそ、より強くそんなことを思う。
草群さんの長所が軽やかさ、ひじきさんの長所が探求心なのであれば、私の長所は「のっかれること」かもしれない。
深く考えず誰かの「好き」にのっかって、楽しい体験をさせてもらうことが多いような気がする。裏を返せば提案力が低いのだが、まあ、それはそれ。
のっかったっていいじゃない。そういう気持ちで、今日も生きております。
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