知るための軽さ、二つ名の妙

ひとつ前の草群さんの日記を読んだ後、ご本人の言いたいこととは、ずれるかもしれないが、


軽さを失いたくない


と思う……いや、願う……いや、んーと、恐れることが、私には度々あるので書いておくことにした。


むらくもやま日記におけるひじきの二つ名は

「肩書の多すぎるアクティブ趣味人」

である。やまおり亭さんが付けてくれた。


「肩書」というと、大家、権威、専門職、ここでいえばマニア的一家言があるくらい突き詰めている印象がある。

確かに私は人様にマニアだとラベリングされることも、きっと少なくない。


ジャガイモのひじきさん

フィナンシェのひじきさん


私よりすごい人、上には上の専門家がいることは存じ上げているので、なかなか畏れ多いことではあるが、周囲と比べて尋常じゃない数をこなしている自覚はあるので否定はしない。


たぶんね、向き合い方が、不器用というか過剰なのよね。


気になったら、知りたくなる。調べられることなら概要をつかむところまでは情報を入れたいし、好きを標榜するならなおさら実際見て比べないと分からないし、自分の言葉で語るなら体験としての数が必要じゃんという欲望のままにガッとこの身に吸収させる。そして数をこなすうちに情がわいて、ずるずると付き合ったりする。


私がこういう姿勢をしてしまいがちというだけで、わからないまま好きって軽率に言っちゃいけないのかよといえば、そんなはずはない。私だってマニアになりたいわけではないし、出会った直後のなんかよくわからんけど好きというスタンスのままでいれたら楽でいいのにと思ってるよ。


摂取方法がこうなもんだから

肩書っぽい呼ばれ方をするようになり、


で、その肩書が「多すぎる」


マニアというとその道一筋何十年というイメージがあるが、

「(ひじきは)初対面の人に一言で紹介するには情報が多い」と友人に言われるくらい、足を突っ込んでいるものが色々あると思われている面もある。


クイニーアマンのひじきさん

リンゴのひじきさん

ボードゲームのひじきさん

ウツボカズラのひじきさん

ヤクザ映画のひじきさん


前述したように向き合い方が過剰なせいでマニアっぽく見えるのだが、

その実、我が身は浅く、いまだ軽く、


知らない世界を見てみたい


という好奇心の赴くままに


「アクテイブ」につっこんでいくからだ。


図書館のリクエスト履歴がその時によって「瓦」で埋まったり、「粘菌」で埋まるわけのわからないことになり、

Xの投稿欄がバインミーやスープカレーやスコーンやガレットデロワのような同じ食べ物の写真であふれる。


本当のマニアになると専門外に触れる余裕がなくなるらしい。

自分の守備範囲の延長で情報が入ることはあるが、歴史のある古いものを好きで追っかけている人に、新商品のニュースは届かなかったりする。

探求の道は深く果てしなく、時間も金銭も限られている。

どこに行き、誰に会うかの基準は、そのジャンルに合わせたものが優先される。

徹底してかっこいい生き方だが、

専門家でも何でもないワタクシの場合、

誘われたら、予定が空いている限り、たいていのものは断らない。

映画や舞台を見たり、

イベントに参加したり、

知らない国の料理を食べたり、

ありがたいことに声をかけてくれる人がいると、ホイホイ手を挙げる。


自分できっちり立てる計画は、これまでの枠で探して、好きに決まっているものを選びがちだから、

それを人に布教するときは、知ったかぶりかましてばっちりエスコートはできるんだけど、

人まかせで動くのは、新しいおもしろさが見つかるので好きだ。


最近だと、建築マニアの人と知り合って、

教えてもらった大阪の近代建築を巡ってみたり、

目黒雅叙園の百段階段の展示を見に行ってみたりした。


今の自分にはいまいち響かなかったなと思うことでも、あとで「これは!昔うっすら見たことがあるやつだ!これだったのか」とつながることもあり、損だとは思わない。


新しいことを体験する軽さでいたい

新しいことを教えてくれる人と知り合いたい

新しいことをおもしろいと感じるやわらかさでいたい


そうこうしているうちにその時々で好きなものが増えたり注ぐ比重が変わったりして

「趣味人」

になっていく。


でも「知らない世界を見てみたい」ってさぁ、空間は縦にも横にもあるわけで、

ボードゲームでいえば

好きなゲームを繰り返し遊びたいとやったことがないゲームを新しくやってみたい

の気持ちは両立してしまうから、困っちゃうよね。

どっちにも知らない世界はあるもの。

仲良くなった人とは何度も集まって親交を深めたいけど、

おもしろ経験を聞かせてくれるコミュニティとも新しく繋がりたいし、

食いしん坊むらくもやま的に言えば、

レストランで、お気に入りのメニューは毎回でも頼みたいけど、限定の新しいメニューも食べたいでしょう?


気分と雰囲気で生きているので、バランスなんて考えられないけど、

回せるエネルギーの総量や受け入れられるキャパシティは、老化と共に低下していく。

その現実は、ひしひしと受け止めているわけですが(ヤダヤダヤダー)


仲良くなるための軽さはなるべく残しておきたい


と、冷凍カツサンドの解凍を待っているひじきでした。

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