風のすきまに花の香り

家を出て、アパートの階段をおりるときに鼻先をふっと花の香りがかすめるようになった。
少し前から気配はあったけれど、今日のお昼はあちこちで沈丁花の香りに振り返るのがとても嬉しかった。

そんな私は春の生まれである。

ひじきさんの旅の記録も、やまおりさんの穏やかな一日の記録も、いいなあいいなあと思いながら難局を乗り切った。つい視界が狭くなりがちなときに、こうしてふっと別の暮らしに意識を飛ばせるのは大変ありがたい。あと、ちょっと出れば顔を見れる距離感と、生鮮品の闇取引。ふふふ。
あやうくはまりこんで身動きとれなくなるところだったが、ずいぶん助けてもらった。

いいなあいいなあ、私もそっちにいきたい、もうやるだけやったしここまでで一旦切り上げよう、ていうか頭がもう働かない

かーえろ!

担当しているイベント会期が無事スタートし、今のところ大きなトラブルもなく、お店に立ったときの様子からも、SNSでの反応からも、お客さんに喜んでもらってるのがわかる。売上云々はいったん置いといて(もちろん大事だけど)、妥協なくやり切れたなと思える。だから、さっと切り替えて休むことができるようになった。

自信がないとダラダラ時間ばかりかけようとするのね。
力不足をなにか違うもので補おうとする。
良くないねえ。

そんなひと段落の本日は代休をとった。平日どまんなかに喜んで大寝坊をかまし、滞っていた家の掃除をそこそこやって、それでもまだ散らかってるが放り投げて、街に出て遅い昼ご飯と買い物をしてきた。
タレカツやさんで全部のせどんぶりを吸い込んだあと、どの程度ぶらついて帰ろうかなと思案しているときにはたと気づいた。
ちょうどハイキュー観れるじゃん!
観たい映画の時間だけ調べていて、でもまあ結局行かないんだろうなと思っていたのだがたまたまタイミングが合った。
平日なのに人が多いなと思ったら、そうか、学生は春休みか。部活帰りっぽい子達もいてとてもよかった。春高バレーで実現した因縁の一戦、ちらりちらりと回想をはさみ、「あの頃があるから今がある」「年月とともに積み上げてきたもの」「出会いで変わったもの、変わらないもの、互いの能力を引き上げていくライバル」の構図がキレイに浮かび上がって、途中何度も泣きそうになった。
あととにかくカメラワークがすごかったな、ボールとともに飛んでいったり、選手の視点になってぐらぐら揺れたり、これは映画館で観られてよかった。
上映期間中にもういっぺん観に行けたらいいな。

その後、翌朝のパンを買って、野菜を買って、大量のパクチーが束で安売りされてたのでついでに買って、いつもとちがう道をぶらぶら通って帰宅した。
大したことはしてないんだが、なんの予定も計画もなしに適当にうろつくのっていいリフレッシュになるのね。なんかのぼりたいから歩道橋のぼっちゃえとか、なんか曲がりたいから曲がっちゃえとか、ふっと花の香りがかすめて「キミここにいたのかー」とつぶやいたりとか。
そして冒頭の沈丁花に戻る。

梅とか沈丁花とか、私にとっては桜よりも春というかんじがする。
あとは、大根の花かな…実家が西武線沿線なのだが、線路わきの土手にやたらと大根の花が咲いていたのだ。おそらく今も。

寒さが多少緩んできたところ、まだまだ油断はならないが、日を選べばむらくもやま夜ピクニックもそろそろ叶うかな。
ふふふ、お声がけしますね。

大量のパクチーはひとまず今日の夕食のやきそばに盛りました。
へ、減らない…

コメント

  1. 仕事の状況は刻々と進んでいるのは知っているけれど、やり切って代休取れるようになってえらーい!たまの平日休みって、頑張って出かけなくてもいい感じがいいですよね。
    おふたりとも花に春を見つける感性が、無粋なひじきにはかっこよく見えます。
    パクチー焼きそば、エスニックな感じになっておいしいだろうな。

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  2. 草群さんが春生まれって、なんだかやけにしっくりきます。身近に好きな人がいる安心感も、わかる~! 何とは表現できないけれど、なんだか嬉しいのですよね。

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