馬鹿馬鹿しいところを一席お付き合い願います

 交換日記をはサボっていたのはお二人のように仕事が忙しかった……からではない。


キリギリスのように先のことは考えず愉快に生きているひじきなので、最近は平日の夜も立て続けに予定が入っていた。

フルーツ食べ放題のアフタヌーンティーに行ったり、赤羽のボードゲームカフェに道場破りに行ったり、女子会研究会で酒池肉林したり、吉祥寺のボードゲームカフェでおばけキャッチの練習会をしたり……おかげで仕事中眠くて眠くて使い物にならない(おい)


火曜日は銀座にホール落語を聞きに行った。

この15年ほど年に一度行われている会で、推しの噺家ばかりというか、推しの噺家しか出ないのでなるべくチケットを取るようにしている。

以前はもっと2〜3ヶ月に一度は落語を聞きに行っていたものだが、コロナで途切れてしまい、最近は定例としているのはこの会くらいになってしまった。


私の落語との出会いは、小学生低学年の頃まで遡る。

親の趣味で家に落語のカセットとCDがいくつもあり、風邪を引いた折など、こだま電球だけの薄暗い部屋で熱に浮かされながら暇つぶしにそれらを流していた。もっと幼い頃は昔話カセット詰め合わせがその役目だったのが、その中でも特にとんちの効いた吉四六さんや一休さんの話を好んでいたので移行はスムーズであった。


笑点メンバーが地元の文化会館などに来る際は連れて行ってもらったし、上野などにある寄席にも「最年少のお客じゃないか」と周りのおじさんに言われながら、入れ代わり立ち代わり繰り広げられる落語を楽しんだ。


当時はにほんごであそぼのようなテレビ番組など影も形もなかったのに、寿限無を諳んじられる気持ちの悪い子どもであった。あるとき、クラスでダジャレを言う人1位に選ばれたのも今思えば落語の影響ではないのかと疑っている。


そこから、だいぶブランクがある。


落語をまた聞くようになったのは、2016年の昭和元禄落語心中のアニメ化がきっかけだった。


何気なく見てみたら、

知ってる噺だ!とノスタルジーが溢れてきて、久しぶりに落語を聞きたくなった。


今はインターネットで情報が拾える。東京にいるから寄席も落語会もたくさんある。


折しも巷では、若手の2つ目をおっかける落語女子ブームが起こっていた。寄席に行っても浮くことなく擬態できる。


子供の頃の推しの噺家は、当時からだいぶおじいちゃんであったから、もう鬼籍に入られた方も多い。


ただ、柳家権太楼師匠や柳家さん喬師匠など、懐かしい顔もあり、



当時売り出し中の若手だった方々がいまやしっかりと地位を確立して活躍していて、再会を果たすことになった。


小学生にとっては、古典的な話が多い中で現代ネタをふんだんに取り入れた創作落語をやる三遊亭圓歌師匠(当時の歌之介)や三遊亭白鳥師匠や柳家喬太郎師匠は、おもしろいおじさん!と印象に残っていて、今もやっぱりおもしろいおじさん!なことに安心した。


で、まあ、昔の贔屓が出る回を狙っての寄席やホール落語を聞くうちに、新しい贔屓も増えた。


入船亭扇辰師匠

橘家文蔵師匠

林家きく麿師匠

林家彦いち師匠

春風亭一之輔師匠


このあたりが落語心中以後に好きになった噺家たちである。白鳥・喬太郎師匠と仲が良かったり、異色のオリジナル落語をやる人も多い。それはひじきの趣味なので。


話は戻って、火曜日は、


入船亭扇辰

橘家文蔵

〜仲入り(休憩)〜

柳家喬太郎


という先述した通りの推ししかいない、ハズレ無しのおもしろさが約束された日だった。

3人しかいないから寄席よりも長めのしっかりした噺が聞けるし、

顔ぶれは同じとはいえ、毎年出る順番を変えるので、仲入り後の1番長いじっくりとした噺は、誰がやるのか楽しみでもある。


扇辰師匠「甲府い」

創作落語をおもしろがりがちなひじきだが、高座に江戸の風を吹かせてくれる扇辰師匠のことも好きだ。

甲府いは初めて聞く話であり、江戸っ子気風親父役の師匠が情も愛嬌もありとてもよかった。

豆腐の売り声が凛と響く。


文蔵師匠「スナックヒヤシンス」

語り始める前の最初の動作で(まさか、ヒヤシンスをやるのか!)とわかって笑ってしまう。スナックヒヤシンスは林家きく麿師匠が作った噺で、つまり推しが推しのネタをやるというおいしい状況だった。カタギとは思えない強面の文蔵師匠が照れながら(そしてちょっとくじけそうになりながら)やってるのが伝わってきてニヤニヤしっぱなしだった。いや

甲府いも上下(かみしも)をしっかり切る(右を向いたり左を向いたりして役を演じ分ける)のがなんか難しいネタだなと思ったけど、きく麿師匠の作品も別の意味で上下の難易度高いんだよな。他の人がやるとそれがよくわかる。


喬太郎師匠「三味線栗毛」

これも初めて聞いた噺

喬太郎師匠は、自作の落語もおもしろいのを作ってかなり笑わせてくれるが、古典落語に関してもとても力量が高い。場の空気を掴んで変えてしまう力がある。

よいものを聞いた。


そんな感じで、ひじきは落語も好きです(って話でよかったっけ?)


コメント

  1. 落語のカセット懐かしい! うちにもあり、親の影響でBGMのごとく聞いていました。昭和元禄落語心中も素敵でしたよね……今は新作がわらわらと生まれていることに驚き、また興味も持ち。いつかオススメの寄席、ご一緒したいです!

    返信削除

コメントを投稿