つくるひとびと

 土曜日のむらくもやまの宴は、草群さんが書いていたがとてもよい時間であった。写真担当として数枚載せておきますね。












この日記でなんとなく近況を知っていても顔を合わせなければ聞けないような話(仕事の詳細、暮らしをおびやかすものに思うところ、相手の話によって引き出される自分の体験)はいくらでもあるわけで、おふたりのしゃべりを聞くのは大変心地が良い。

美味しいものに出会ったときに、口を満たし食べ進める幸福感と「食べ終わりたくない」と寂しさのないまぜになった気分になることがあるがそれに似ていると思う。また食べればいいのだけど、今この空間が楽しいから切り上げたくない。

日頃から能力の高いことをしている人たちだと思うのだが、驕ることなく相手への関心と尊重が常にある。それを伝えるやわらかな言葉がある。「なんかやりますか」と言われたら「じゃあ、やりましょうか」と答えたくなって、いや卑屈な自分があれこれ考える前に反射で答えている。今はできそうな気がするもん。

というわけで、また集いましょう。


日曜日は「芋料理とティラミスとテストプレイ会」に参加した。

おばけキャッチきっかけで知り合ったAさんは、公共施設の料理室を借り、たまに仲間内で料理会を催している。SNSで写真を拝見するに手のかかった凝ったもの作ってすごいなと思っていたが、今回は新しく借りる料理室の下見(備品や設備確認)も兼ねて簡単な料理とボードゲームの集まり、特に12月のゲームマーケットに向けたテストプレイ会を開きたいという。

今はてなが浮かんだであろうゲムマ・テスプの説明は後でするとして、私不肖雲形ひじき、芋研ゼミのゼミ長にして芋の伝道師なので、ジャンル別・難易度別の芋料理をたくさん提案可能なうえに、スーパーで買えないようなジャガイモを複数品種入手することができる。Aさんもそれを知っていて芋料理の会もいいよねと過去に言ったことがあったので、じゃ、今回は芋をやりましょうということになった。

1週間ほど前にばたばたとそれが決まり、自分は芋の仕入れだけした。特別なコネは何もない、地道に足で稼いで買える場所を知っているだけだ。普段ならそんなにたくさん買っても食べきれないが、集めていいよと言われたら揃えるのが楽しいのである。いっぱい並んでるのかわいいじゃん。



当日、7品種の芋と調理に使う消耗品を小型のキャリーに詰めて会場へ。

公共の料理室の利用はこの1年花マル農園で特殊な訓練を受けたので、馴染みがあるというか戸惑うということはあまりない。今回はカットしてシンプルにお出しする食べ比べ会ではないし、Aさんとの共同作業は初めてだが、芋が主体ならこちらが動こう。

消耗品の置き場所を決め、ごみ箱ゾーンを設置し、芋のステージを用意する。

参加者がある程度集まったら、ジャガイモの品種の特徴を説明。今日お集りの皆様はボードゲーマーであって芋に興味ないと思うんだけど、知ってると知らないとだとこれから先出会うジャガイモの解像度に違いが出るかもしれないから、よかったら聞いてね。

参加者は12人、そのうちティラミス班が3人、スープ班が2人、芋班は7人で3品作る。

小学生の参加者もいたので、皮むきやぬめりを洗いながす作業、マッシュなどできそうなことをなるべくやってもらったら、3年生のUさんがめちゃめちゃ真面目に丁寧にこなしてくれて、感心してしまった。社員にならないか?

足りない備品を近くの100均まで走ってくれた人があり、ポテチ担当は黙々と揚げ続けてくれ、手が空いた人はこまめに洗い物をし、スープ班は余ったジャガイモ、玉ねぎ、ベーコンでジャーマンポテトをささっと作る、初めての共同作業にしてはハイスキルな集まりだった。

かくして3時間ほどで、

ポテトチップス


アッシュパルマンティエ


カラフルポテトサラダ


ジャーマンポテト


じゃがバター

コンソメスープ

の完成

大量のパンの耳を持ってきてくれた人がいたので、揚げ油は全部カリカリに吸わせた。固めるテンプルいらず。パンの耳揚げ砂糖まぶしは後引き止まらずなのがわかっているので、自分では作らないようにしているのだが、あるんだからしょうがないよね隙あらば食べ続けてしまった。

私のお持ちした変なリンゴ4種(とその説明)もデザートに添えて。酸味が口の脂っこさを洗い流してくれるよ。

レンチン4分でリンゴがジャムに変貌するとどよめきが起きた。いい反応だ。そしてパンの耳に付けると美味しい、万能だパンの耳。

全部美味しくて、みなさん綺麗に完食、後片付けも早い。

そしてテストプレイの時間へ

自作の小説や漫画で同人誌を作る人がいるように、ボードゲーム界隈には同人ゲームを作る人がいる。

自分が考えたルールで盤面やコマ、カードなどを用意し、他の人に遊んでもらえる形にして、量産して、イベントで頒布する。東京ビッグサイトで年に2回開催されるゲームマーケットが有名どころなイベントだ。ゲームなので、遊んでいる中で矛盾や破綻があってはいけない。作者の想定外を超える事態で中断して遊べねーじゃんということがないようにというだけでなく、このアクションはストレスを感じる、効果の説明やデザインがわかりにくいというようなプレイ感を含めて、できるだけいろんな人に遊んでもらってブラッシュアップする必要がある。同じ人が何度も遊んでもそのシステムに慣れてしまうと、初回プレイのような新鮮な感想は出にくくなるからね。それがテストプレイである。

今回はTさんとNさんのゲームで遊ばせて持った。

Tさんはまだあどけない少年ながら、重量系の難しいゲームで遊ぶのを好み、すでに以前作ったボードゲームが商業製品化されている将来有望な製作者。今回のゲームは夏休みを利用して作ったそうである。私はボードゲームに詳しいわけでも、的確なアドバイスが言えるわけでもないのでふんわり遊んだが(そしてなぜか運よく勝ったが)、作る側の大人たちは真剣に意見を言い合っていた。

会場を出る時間が近づいたころ、洋梨のティラミスが出来上がる。


朝から生地を焼いたりクリームを泡立てたりチョコでコーティングしたり冷蔵庫で冷やしたり手がかかっただけあって絶品だった。ティラミス興味なかったけど、これはおいしい。ケーキ屋で売れるな。そしてケーキ屋って大変だな。

解散後は、参加者だったLさんにすこし時間ある?と訊かれて、ドトールにてLさんが今度作るゲームの作戦会議と言う名の私がわーわーきゃーきゃー言うおしゃべりをして、いやゲームを作れる人ってすげぇなと思いながら家路についた。

同人誌も、イベントも、料理も、ゲームも自分が思いついて、人を巻き込みながら形にするって誰もができることではないし、そんな人たちが周りにたくさんいると楽しいなあと思ったのだった。

コメント

  1. あの日のおいしさが蘇るお写真、いつもありがとうございます! ずっしりボリュームのあるイベントを次々と、楽しそうに乗りこなしていくひじきさん、いいなあ。見てて元気になります。

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  2. これはいけません、また食べたくなってしまう…!
    それにしても盛りだくさんの週末でしたね。手を動かして食べて頭を使って、この健やかさがひじきさんってかんじがする。

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