秘伝のソース
文字ベースの同人誌を出す友たちよ、原稿の作成にはどんなツールを使っていますか?
私は昨年から「LaTeX」にドはまりしており、ここ最近は主催するアンソロジー編集のため、このLaTeXにかかりきりの日々である。
LaTeXはもともと、「数式や図表をとっても美しくPDF出力できる」ことを売りにしている文章作成ツールだ。同じく数式や図表を挿入可能な文章作成ツールであるWordとよく比較される。私もLaTeXと出会う前は、主にWordを使って小説同人誌の原稿を作っていた。
この二つのツールには、いくつかの大きな違いがある。
一つは文章の編集方法だ。Wordは白紙に似た版面を見ながら文章を編集していくけれど、LaTeXでの編集にはソースコードを使う。コードの手触りはHTMLやCSS、あるいはPHPに似ているように思う。定められたソースコードを打ち込んで出力(コンパイル)すると、その指示通りにPDFが作成されるのだ。
もう一つの大きな、大きすぎる違い。それはルビがとんでもなく美しく振れることである。
小説の同人誌をWordで作ったことがある方は既に嫌というほどおわかりかもしれないが、Wordでの小説原稿作成は、Wordのちょっぴり……難解で……ちょっと以上に親切な……自動補完システムとの戦いだ。
この自動補完システムのお陰様で、Wordで文字にルビを振ると、そこだけ行間がたっぷりと確保される。行間がたっぷりと確保されるせいで、ページあたりの行数がその部分だけ自動で変更される。ときには一行あたりの文字数も自動で「調整」される。
問題は、その「調整」がどんな理由で、どの場所に、どのくらい行われたのかが編集者には判別しがたいことだ。特に「どの場所が、どのくらい」勝手に変えられたのかわからないのは致命的である。だってどこを、どのくらい直せばいいのかわからないんだもの。ひとたびWordの自動調整が発生してしまったが最後、我々は「たぶんここの数値が原因な気がする」と思われる箇所をこつこつ、0.5ptだとか1ミリだとか細かい単位で増やしたり減らしたりしながら、崩れた版面を目視で元通りにしていくしかない。
あああああ!
これが〆切直前に発生するともうだめだ。
ああああああああああ!!
そんなわけで満身創痍になった私が「イラつかずに済む文章作成ツール」を探した末、たどりついたのがLaTeXであった。
LaTeXはよい。余白や行数や行間や、一行あたりの文字数や字間が勝手に変更されない。ルビの位置や柱の設定も簡単で、なによりルビを本当に、本当に美しく振ることができる。どんなフォントであっても設定次第で「――」をきちんと繋げて表示することができるし、傍点のサイズ調整までできる。
問題があるとすれば、それは私がソースコードのことを体系的に理解せず、ネット検索で得た知識をコピペでつぎはぎしながら使っているため、いま組み上げている体裁指定用ファイルに含まれるコードたちのうち、はたしてどのコードがジェンガ崩壊の「決め手」になるかわからないことだ。
これだけお世話になっていて、これからも使い続ける気でいるのだから、いちどちゃんと勉強をしたほうがよい。けれどLaTeXに触れるときはいつも、入稿前なのである。このアンソロジーの、次の本までにはなんとかしたいとは思っているのだけれど……年末の私に期待だ。
Wordのお節介に叫びだしたくなることあるけど、それしか使えないからと諦めてもいました。「ネット検索で得た知識をコピペでつぎはぎしながら使っているため」っていうところで、いにしえのhtmlホームページを作るブームがあったなあ、私もご多分に漏れず理由もわからず小説サイト作ってたなと思い出しました。
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