ご説明いたしましょう
食べ比べ会が身近なものとなっている、そんな土日の話。
もともと「知るためには食べなくてはわからない」が私の信条だ。
フィナンシェを1000個も食べ続けているような人間だし、コンビニを巡回してファミチキ・Lチキ・ナナキチを一気に食べたこともあるし、シリーズで出たものは一通り食べてみてどれが自分好みかを決めたりすることは昔からあった。好きも嫌いも決めるには、他の物を知らないと基準がわからないのだ。味覚に自信がないものだから、いきなりズバッと判断できない。なるべく選択肢と比較材料を知りたい。
あと農作物に関しては品種が好きというのもある。
同じ作物なのに、色や形が多様で育種開発命名された来歴が違う。
同じ作物なのに、作られる産地や農園、年で味がだいぶ異なる。
農業のことは何もわからないけれど、なんかそういうのおもしれぇじゃん。
そんな私はここ数年、毎年リンゴを100種類食べることにしている。100というのはキリがいいから言っているだけで、実際数えると120は超えているのだがまあ、誤差だよ。
リンゴ100種類なんてどこで売っているのかとよく訊かれるのだが、ちゃんとそういう変な八百屋があるのである。
その怪しいことこの上ない八百屋に足を踏み入れようと思ったのは、ジャガイモがきっかけだ。数年前、ジャガイモ沼(ポタージュ)に足を突っ込み始めていた私は、珍しい品種のジャガイモがないかを探るべく、いままで素通りしていたその門をたたいた。そうしたら、聞いたこともない名前のリンゴが売っていた。リンゴねぇ、久しぶりに食べてみようかしら……そうして買ったリンゴが妙にその時の自分にしっくり来た。やだ、おいしいわ。しっくりは大切だ、そして危ない。
そうして、リンゴを食べるようになり、その八百屋に全品種(同品種農園違いも含めて)取り置きをお願いするようになり、収穫の最盛期である10月~11月などは家がリンゴであふれかえるので、友人・知人におすそ分けするようになった。特に去年は吉祥寺のブックマンションを経営するのNさんと知り合ったのをいいことに、Nさんのもとに毎週のようにリンゴを運び、その時店にいるお客さんにも品種の講釈をたれながらおすそ分けをした。その場に草群さんも呼びつけていたら、草群さん抜群の吸収力で、リンゴの解像度がぐんぐん上がっていくのを目の当たりにした。
で、Nさんにすっかり「リンゴの人」と認識された今年、リンゴシーズンはまだ序盤だが、軽くジャブから始めてまたたくさんもらってもらおうと連絡を取ったら、「ちょうど土曜日に人が集まるので、その人たちにプレゼントするリンゴを10個くらい見繕って持ってきてもらえませんか」とお願いをされた。
選択肢は少ないシーズンだが、そういう頼まれごとは嬉しい。予算も付くとやりがいもある。
土曜日当日、余裕をもって家を出たのに件の八百屋と20分以上話し込んでしまい(毎週行ってるのに!)、あわや待ち合わせに遅刻しかけた。
開店前のブックマンションには6人のメンバーが作業していて、お土産に好きなリンゴを持って帰ってね方式だと誰しもが思っていたのだが、「どうせなら全部食べてみたい」と言った人がいた。ブックマンションの2階は偶然にも間借りカフェになっており、包丁もまな板も皿もフォークも水道の通ったシンクもある。なぜ、知っているかと言えば、私はここでジャガイモ食べ比べ会を主催したことがあるからである。
その時の様子はこちらのnoteにhttps://note.com/financier893/n/n9d4a6edc7257
では、切りましょうと。
順番を決めて品種解説をしながら12種類のリンゴをすべてカットし、その場でみんなでわーわー食べた。
前々から思っていたがブックマンションの棚主は、みんな反応が良い。説明に耳を傾け、積極的に感想を口に出す。そういうことをするために集まったわけじゃないのに、なんだかそのために来たような講習会の様相を呈した。リンゴを普段ほとんど食べないという人も質問をしてくれ、急激に知識を上げていく。家に持って帰って1玉食べるより、やはり一気に少しずつ比べた方が味の違いは歴然である。人のコメントで気づくこともある。持っていった中でも私一押しの品種は好評で、もっともっと紹介したいリンゴあるんだよぉ、なんならこれから12月まで2週間に1回開催しませんかと思うくらい、楽しかった。
その場にモノがあって、知識があったとして、どうしてそんな突発的に食べ比べ会が開催できるのかと言えば、場数の経験であろう。花マル農園で特殊な訓練を受けているのだ。
日曜日は花マル農園のぶどうの食べ比べ会があった。
日本一のブドウ農家が作った高級ブドウや市場に出回っていないような名もなき農園オリジナルぶどうを、ブドウマニアの解説を聞きながら40種類以上食べ比べて、人気投票をしようという趣向である。
花マル農園は4人で構成される農作物評論サークルで、農作物の同人誌を頒布したり、旬の果物(桃、スイカ、トロピカルフルーツ、梨等)の食べ比べ会を運営している。
私はここに今年の1月からジャガイモ担当として所属している。花マル農園を知るきっかけとなったのは、去年の10月、リンゴの食べ比べ会をするらしいとSNSで流れてきて何もわからぬまま「わーいリンゴリンゴ」と参加して、主宰と知り合いになり、気づいたら自分がメンバーになっていた。怖い!他のメンバーは農学部所属などまじすごいガチマニアで、ひじきは見習い実習生のような「(これまでの同人経験を活かして)告知画像とかお品書き作るね~」とゆるふわな気持でいたのに3月にはジャガイモ食べ比べ会を担当した。早くも通過儀礼来た!怖い!ちびる!
花マル農園の食べ比べ会を主担当するとですね、自分のつてで50品種くらい揃えて、必要備品を準備し、セットリストを考え、配布資料を作り、各セクションのタイムテーブルを組み、当日は手伝いの人に指示を出し、会場内に気を配りながら40人くらいを相手に2時間以上ぶっ通しで解説し続ける経験をすることになるので、まあ、自然と鍛えられるのですな。
その時の様子はこちらのnoteにhttps://note.com/financier893/n/n6306cedb5676
そして、今は椅子に座って出してもらうのを待つ参加者側ではなく裏方スタッフとして準備から提供、片付けまで動き回っているので、「はいはい、食べ比べ会ね」と何が必要かだいたいわかり、小規模なものならすぐ開けちゃうという話である。でもまだまだ経験不足なので、やってみたいことは色々あるし、土曜日のような機会も増えると嬉しいなと思う。
秋のひじきさんめっちゃ忙しいですね…!(りんごにぶどうに)
返信削除特殊な訓練を受けまくっているひじきさんがどこまでいってしまうのか、ニヤニヤしながら見ています。
いつでもどこでも滑らかに面白く解説なさるのがひじきさんのすごいところというか真骨頂ですよね…またスタッフとして呼んでくださーい!
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