休みじゃ
九月の三連休に突入した。
先週の土日は電車に乗り倒して喋り倒したため「お休み」というよりは「遊び」の日で、続く平日がだいぶハードだったため今日は午後のほとんどを昼寝に費やした。
目が覚めたらまっくらだったよ。はっはっは。
なにがそんなに大変だったかというと、この一週間は部署内メンバーが現場対応でそれぞれ別の場所に散っており、新オフィスでひとり留守番になったために頼まれごとがひっきりなしに飛んできたのである。企画進行中のグッズサンプルや預かり物の展示品チェック、トラブル対応で急遽発生したウェブページの作成など、「ちゃんとやったことないけどやるしかねえ」事案が多数発生し、戸惑ってる時間はないのでまだ名前もうろ覚えな他部署の人に泣きつきながら打ち返し、落ち着いた頃にやっと自分の事務処理や企画進行に取り掛かる、という日々が続いた。
昼食として持ってきたはずの豚キムチ丼(自作)は暮れなずむ東京の街を見下ろしながら噛み締めることになったし、デスクではたと顔を上げると他部署の島はガラーンとしている。そこから今日中にやらなきゃいけないことを再確認して退勤カウントダウンに入るのだ。土日に休息をとらなかったこともあって、水曜にはもう白目を剥きかかっていた。
こう振り返るといかにもしんどそうに見えるが、実はそうでもない。
体力的にきついのは確かで、一度など寝坊で危うく遅刻しかけたものの、ストレス負荷がほとんどかかっていないので疲れの質が違うのだ。
転職が多かったこともあって、下っ端根性は染み付いている。人から指図されることに抵抗がないというのは、意外に得難い資質なのだとこの歳になって感じる。おかしいなと思ったら疑義を申し立てるけど、相手だって必要だから依頼してくるわけで、イラっとしてる暇があったらさっさと取り掛かって片付けてしまうに限る。そのほうが喜ばれるし、次のこともできるし、一石二鳥である。やってくださいと言われてムスッとするタイプの方は生きづらかろうなと思う。
昔お世話になった上司が、仕事はスピードだと言っていた。作業をさっさと終わらせて、いかに本丸の「仕事」に時間をかけられるか。作業のほうのタイムアタックも楽しんでやるし、企画作成やデザインのディレクションだって面白い。結局どちらも好きなので、まるで苦にならないのである。同じ企画職の同僚が心配して声をかけてくれたが、「意外と元気ですよ、昨日は夜中にダブルチーズバーガーを食べました!」と返したら若干引いていた。
ごめんな、そういう妖怪なんだ。
そう、永遠に眠い一週間だったが、食事だけは欠かさなかった。夜中にダブルチーズは極端な例だが、たとえ時間がめちゃくちゃになろうとも三食どこかで必ず摂る。胃腸には悪そうだしいずれ太りそうだが、食欲が落ちないというのは強みだ。お腹が空くと何も手につかなくなるので諦めて食べるほかない、という説もある。
まあ、そういう妖怪だからな。
ひとりでお留守番週間のおかげで、嬉しいこともあった。
やらざるをえない案件がぎゅうぎゅうにひしめいてるせいで作業スピードが上がったことと、他部署の人とちょっと距離が近くなったことである。
業務上かかわることは多いのに面と向かって話すことが少なかった(チャットツールではバシバシやりとりしている)お嬢さんが、上司を交えた飲みに誘ってくれたのは本当に嬉しかった。行きたかったなあ、どうしても提出しなきゃいけない書類が残ってたせいで泣く泣く諦めたけど。
たぶん、私が事業部内で七転八倒してるのを他部署の人々もなんとなくみてくれてるんだと思う。それが新オフィスのいいところかもしれない。以前は階やエリアがはっきり分かれていたから、互いに何やってるか肌で感じることは少なかった。
そんなこんなで、平日のあいだにやらねばならないことはなんとか終わらせて週末。三連休だということをすっかり忘れていたので、これも嬉しい誤算であった。
放っといたら永遠に眠っていたと思うが、例の脱毛サロンの予約を入れていたのでよぼよぼと起き上がって向かい、帰りにお寿司を買ってきて自らを労った。
脱毛サロン、もちろん自分の身体のメンテナンスのつもりで通っているのだけど、「美容を生業として美しさを作り込んでいる人たちと定期的に接する」ことも良いことだなと思うようになった。お仕事とはいえ、日々の積み重ねがなければ内側から輝くようなあの笑顔は出ない。そのあたり疎かにしてきた身としては、彼女たちを心から尊敬してやまないし、今からでも少しずつできることをやっていこうと思う。誰よりも自分のために必要なことだ。
しかしあれだ、さんざん昼寝したあとだが今日のところは早々に就寝しよう。で、明日朝イチで川へ洗濯に行く。連休残りを満喫したら、また火曜から妖怪として返り咲くのである。
この交換日記、草群さんの新しい仕事での心情と成長ぶりが克明に記された後世の資料となるんじゃないかしら。
返信削除向いている会社を選べてえらかったねぇ、人間関係もうまく広げながら頑張ってるねぇと親戚のおばちゃんのように拝読しています。
いっぱい食べる君が好き!
返信削除めっちゃ向いてるお仕事を引き当てられましたね。