類が呼ぶもの

 昨晩は浅草で夕飯を食べていた。

予定していたお好み焼き屋は冷房がないせいで臨時休業で、

22時までやっているという古い喫茶店は何も言わずシャッターが閉まっており、

この会を催すに至った主賓になるべき人はインフルエンザに罹って来られなくなり

つまり予定していたものとは何もかも違う夜だったが、

浅草らしい昔ながらの雑多な定食屋は2階のお座敷席まで地元民で賑わっており、

二次会のムーディーイタリアンでは本来3~4人で1つをシェアするかき氷を何も知らず1人1つ頼んでしまい、味に飽き、食道まで凍り付く寒さに震えながら食べる経験はなかなかのもので、楽しかった。


やまおり亭さんがダイエットを試みたり、草群さんが仕事によって痩せようというときに、逆行した怠惰な食生活を送っている。

ええっ、二人ともそれ以上スリムになってしまうの?

別にお前は体を絞る必要などないではないかと思う節もあるかもしれないが、

今年8月になって、空腹時でも下腹がへこまなくなった。

本当は徐々に膨らみを保って増していたのかもしれないが、あまりにも体に興味がなくて意識したのが8月だった。

ガスだまりか、通じの悪さによるものかと1か月様子を見ていたが、どうもなくならない。

おお、これが代謝の衰えによる脂肪の蓄積、ついに来たのかぽっこりお腹!?

と、感慨深かったが、それによって何かをすぐには変えようとしないのが私である。

まあ婦人科系疾患によるふくらみだと後が厄介なので検診に行くくらいはしよう。

それで心置きなく「これは脂肪!」と認識して現実を受け入れよう。

これから各部位どんどん受け入れることになるだろう。いままでの勘定が甘すぎたのだ。

ただ、食べたいものを我慢することは、その、ちょっと……困難を極めると言いますか……食欲の衰えが追い付いてないと言いますか……食わせろ。


 浅草は今年の4月に知り合ったAさんにお声がけいただいたのである。

Aさんとの馴れ初めは、私の「興味関心への姿勢およびラベリング」によって引き起こされた。

吉祥寺にブックマンションというシェア型本屋がある。

以前のやまおり亭さんの日記にもあったように、やまおり亭さんが主催している文芸同人誌専門の招文堂もそれに属するものだが、

ブックマンションは商業本も多く取り扱っているので少しばかり毛色は違う。

私はこのブックマンションのZINE部(棚は持たず自分で作った同人誌を数冊置いてもらう)の末席を汚すものということもあり、

暇になるとブックマンションやその周辺の関連施設に顔を出している。身内面というやつだ。

ブックマンションは棚主が交代で店番をしており、棚は100以上もあるので行くたびにレジカウンターに座っている人が異なる。

その日はHさんが店番で、ちょうど閉店後の戸締りをしているところだった。

Hさんとは初対面であったので、ブックマンションの関連施設ブックターミナルに向かう間に自己紹介をした。

 

ジャガイモが好きで、擬人化小説を書いたり、食べ比べ会を主宰しました。

フィナンシェも好きで、年間300個くらい食べます。名古屋にフィナンシェ狩りに出かけたりします。

 

Hさんは、質問を交えながらふむふむと聞いてくれた。

ブックターミナルに着くと、中でコーヒーを飲んでいた顔見知りの人が私を見て

「あ!リンゴを年間100種類食べる人だ!」と叫んだ。

H「ジャガイモの人って聞いたんですけど!?」

また別の人「なんかサツマイモも行ってましたよね」

ひじき「いやサツマイモは片手間で」

H「片手間?」

Hさんの表情が混乱を極めた。情報が多くてすまない。

「その突き抜け方、知り合いにひじきさんと同じ匂いのする人がいます。全国にある創業100年以上の老舗を回ることを趣味の活動にしていて、老舗で買い集めた醤油なんかの食べ比べ会をしているんです」

と、HさんはAさんのXのアカウントを教えてくれた。

その時は、へーおもしろい活動をしている人がいるんだなあと思っただけだった。


その3日後。

溝の口でマニア飲み会があった。

いや、マニア飲み会というわけではない。主催がチェーン店の1号店に行くことを趣味にして同人誌を作っている人で、マニアフェスタ等のイベントに参加しているため、

参加者が音楽関係の人とマニアとなんかその他名状しがたいつながりの人が寄せ集めというカオスな飲み会だった。

私はぶどうマニアの人に誘われて、わけもわからず参加した。どうも、わけもわからないものに参加しがちである。

店をほとんど貸切るような大所帯だったため、テーブルはいくつにも分かれ、席替えも難しく最初に席に着いたテーブルの人と楽しく過ごし、退席時間になったので店の外に出た。

そこでお開きかと思いきや、名残惜しいのか多くの人が路上で小さなグループになってしゃべり続けた。

その中に

「創業100年以上の老舗をめぐる活動をしています」

という人がいた。

……ん、どこかで聞いたことあるな?

「あのう、Hさんってご存知ですか?」

「ああ、Hさん」

つながった。それがAさんであった。

存在を知って3日で実物に会うことってある?


そんなこんなで、Aさんが定期的に開催している、全国の老舗を巡って集めてきた醤油・酒・和菓子(老舗なのでね!そういうラインナップしかないよね!)を食す会に顔を出すようになった。

6月はその会場でジャガイモ食べ比べを開催したら喜んでもらえた。

Aさんもそうだがその活動量・知識・経験・考察の深さ・情報発信力等々、世の中にはすごい人がいっぱいいて

私は自分をマニアと名乗ることに抵抗があるというか、

いやそれほどのものではございません、不勉強ですしこの分野でも上には上がいますし、好きを仕事にするような力もないですしゆるふわなんですという遠慮があるが、

「自分をブランディングするといいことがある」

というのはここ数年で感じていて、

・「〇〇の人」と人に覚えてもらいやすい

・〇〇を見た人が私を思い出して連絡をくれるので〇〇の情報が集まりやすいくなる

・〇〇のことなら多少話せるという武器を持っていると、初対面の場でも参加しやすい

・マニアはマニアの知り合いができやすいので、ぶっとんだ変な人と出会える

おこがましくもラベルを貼り、素知らぬ顔で仲間に入れてもらっているしだいである。

コメント

  1. ひじきさんの周囲に集まる人々……濃いな……それぞれが台風の目って感じで楽しそう!

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