食いしん坊のダイエット

 いつか必ず〈やる〉だろう予感はあった。日記のお当番をすっかり忘れておりました……。

 誠に申し訳ない。遅ればせながら、本来記すはずであった8/29のことを書いておこうと思う。

 昨日は在宅仕事で、日のほとんどをパソコンの前で過ごした。一日の総歩数は三十二歩であった。食事を摂る机からパソコンデスクの前までが片道おおよそ十歩であるから、数字の面からしても、昨日の私がパソコンの前で、いかに太い根っこを生やしていたかが窺える。

 この人間、どうして在宅時の総歩数などという何の役にも立ちそうにない数字を把握しているのか。

 きっかけは、ダイエットである。

 詳しい数値は伏せるが……ここ数年の私の体型は、健康という観点からするとまったく問題がない。と同時に、まあ、ちょっとお肉が減ったところでなんの支障もない。そのくらいのところをずっと維持してきた。気が向けば腹筋やスクワットくらいはするし、小説執筆という趣味を長く続けるためにもストレッチは念入りにやっているが、健康維持より他のことには目を向けていなかった。もちろんダイエットにも。

 ところが最近、パートナーが新しいスポーツを始めたのだ。
 隣でスポーツをやっている人がいると、自分も何かやりたくなってくる。元運動部のサガである。

 けれども私には、今すぐ新しいスポーツを始めるような時間の余裕はなく――そこで目をつけたのがダイエットである。理想の姿を目指して肉体を調整していくという意味では、ダイエットもスポーツの一種のようなものだろう。たぶん。

 さて、とあるダイエット専門のパーソナルトレーナーさん曰く――痩せるために必要なのは食事の管理と運動。せっかく運動をするなら、ダンスやジョギングなどの有酸素運動よりも、筋トレにしっかり時間を割いたほうが効率よく痩せることができるらしい。しかし現代人、毎日コツコツ筋トレに励めるかというと難しいこともある。そういう場合は有酸素運動だって決して無駄ではなく、まあだいたい目安として、一日に一万歩くらい歩けていると安心ですね――ということらしい。

 ……と、このように受け売りっぽさ満載の文章を続けると「パーソナルトレーナーさんと契約したの?」と思われるかもしれない。していないのだ。前述のダイエット知識は、とあるパーソナルトレーナーさんがyoutubeに投稿している動画から仕入れたものである。

 この動画投稿者さんはとかく現実主義で、無茶と無謀を推奨せず、何より食事にかんして「これを食べてはいけない」「あれを食べてはいけない」と不安を煽るようなことをおっしゃらないため、食いしん坊の私も安心して動画を視聴することができる。大変にありがたい。また体重の数値をやたらに下げることではなく、程よく筋肉のついた健康体になることを「ダイエット」と称してくださっており、このあたりにも信頼を置いている。

 閑話休題。歩数である。

 ダイエットをしようと思い立ったはよい。筋トレも時間が取れる日は楽しくやっている。その上で、時間がない日のトレーニングだ。在宅仕事は歩数を稼げない。それどころか私は、この動画投稿者さんを知るまで、自分が日にどれだけ歩いているかなんてカウントしたこともなかった。

 しかし幸い、私は散歩を趣味としている。わりと……歩けてるんじゃない?

 今まで使ったことがなかったけれど、私の使っているスマートフォンには歩数を計測できるアプリが最初から入っている。期待を抱きつつ、そのアプリを起動した。

 結果、想像していた歩数の30%ほどしか歩いていなかった。

 こうなってくると、俄然やる気が出てくる性格である。なんであれ数字を増やすのが好きなのだ。ゲームキャラのレベルしかり、投稿した作品の閲覧数しかり、小銭の貯金しかり、まあいずれも決して上手くはないけれど――そんなわけで最近の私は、日々の歩数をカウントし、アプリ内に表示される年間累積歩数を増やすことに執念を燃やしている。

 ところで先日、私は草群さん/ひじきさんと共に、とある駅にて一日遊び歩き、食べ歩いたのだが――あの日の歩数は目標の2.5倍、二万五千歩をゆうに越えていた。しかも、あれだけ欲望のままに美味しいものを食べたのに体重も減っていたのだ。

 食べ歩きダイエット、ありだと思います。

コメント

  1. 三十二歩……毎日落ち着きなく1万4000歩くらい歩く私からすると、大丈夫か死んでない?と不安になる歩数。

    やまおり亭さん、元運動部だったのか!など日記で知ることがちょいちょいあって楽しいです。

    食べ歩きダイエット、またしましょうね!(食べたいだけ)

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