袋に捕らえられたのです

 ここのところ、一人遊びの選択肢に植物園が追加された。

先週は神代植物公園

昨日は板橋区立熱帯環境植物館

誰かに誘われたわけでもなく、一人でふらっと出かけ、けっこう満足して帰ってくる。

今日も本当は新宿御苑に行こうかと思っていた。

天気予報を信じて慎重になってしまったが、これなら行けたじゃないか!とちょっと後悔したので来週あたりうずうずと行っているかもしれない。

植物に興味のない私にとってはちょっとした変化だ。


それというのもウツボカズラのせいである。

ウツボカズラになんとなく惹かれて、その姿を見に行っているのだ。

興味がなさ過ぎて調べるまで知らなかったのだが、この7~8月の夏休みの時期、各地の植物園は企画で食虫植物展を開催していることが多い。

新潟でも栃木でも神奈川でも京都でも兵庫でも高知でも(以下略)。特設コーナーを設けて普段よりも多くの食虫植物を展示している。

子どもの自由研究向きだからだろうか?

今年は、朝ドラ「らんまん」で「日本の植物学の父」と言われる植物学者・牧野富太郎を主人公にしているそうだから、余計に盛り上がっているのかもしれない。牧野富太郎は食虫植物「ムジナモ」を発見した人らしいので。


私がウツボカズラが気になるようになったのは今年の4月。

ペーパーウェルと言うネットプリント配信企画用に、ウツボカズラのペーパーを作成してからだ。

いつも企画でコラボしている絵描きのRさんと、作戦会議を兼ねてデートをするにあたり、Rさんの希望で夢の島熱帯植物館に行った。

私は植物の名前を見てもまったく頭に入らないので認識することは早々に放棄し「かわいい~」「おもしろい~」「かっちょいい~」とIQの低い感想を述べながら、見て回った。なにもわからなくても植物のデザイン性は見ていて退屈することはない。

屋外のジャガイモが数品種植わっているところだけ、すごい興奮と格段の解像度でお送りしたが、それは植物と言うよりジャガイモ枠なので……

その後、食事などを経ていざ、どんなペーパーを作ろうかと言うのを話し合ったとき、ふと、ウツボカズラはどうかという案を出した。

昼間見た夢の島の温室に食虫植物コーナーがあり、ハエトリソウやモウセンゴケ、ムシトリスミレ、サラセニアなどとまじり、ウツボカズラがたくさんぶら下がっていた。今回の企画のお題「扉」に(めちゃくちゃこじつければ)ウツボカズラが当てはまるのではないかと思いついたのである。

ウツボカズラで行こうと決めてからは、にわか知識を得るために図書館で図鑑を何冊も借りた。すると思いのほか、たくさん品種がある。人間が交配させ作出したものまである。虫が落ちる袋状の特徴は同じだが、デザインは様々でにぎやかだ。

ずっと向き合っていると(かわいいじゃん……)となってくるのは人の情である。

その昔、別に興味がなかったのにヤモリの小説を書くためにヤモリのことを調べていて(かわいいじゃん……)となってヤモリ飼いになってしまったこの私である。詳しくは控えるがジャガイモもこのパターンである。

資料を調べたかいあって無事にペーパーは出来上がり、

たった1ヶ月ではあったが過ごした時間の濃さで「好き」と錯覚した。そのくびれと膨らみを持つ魅惑的な曲線は妖艶に私を誘った。

Xのリストに、マツコの知らない世界で植物園の世界のゲストだった宮内元子さんのアカウントを気まぐれに加えたのが6月頃で、そうすると各地の植物園のイベントや開花情報ががんがん視界に流れてくる。夏になるにつれその中に食虫植物が増え始めた。


ウツボカズラ、見に行くか。

かくして、神代植物公園「夏休み特別企画~虫を食べる植物の秘密~食虫植物展」へ行ってみるに至った。

温室は蒸し暑いのではないかと懸念したが、それがどうして空調が効いてそこにたどり着くまでの外よりもかなり快適である。ちびっこがうじゃうじゃいたらどうしようと思ったが、そんなこともなかった。

図鑑で見たウツボカズラの品種が実際に展示されていると、呪文のような名前にすこしだけ見覚えがある。この品種、進研ゼミで見たやつだ!とテンションが上がる。180枚も写真を撮ってしまった。










昨日の板橋区立熱帯環境植物館「夏休み特別展~熱帯の昆虫と食虫植物~」は神代植物公園の規模ではなかったし、企画は窓際で行われていて写真を撮るにはことごとく逆光だったが、常設の雲霧林コーナーにもなんの説明もなく普通に捕虫袋がぶら下がっていて、それがよかった。企画されなくてもいつもそこに生えてるのね。




食虫植物の小さな鉢が販売もされていてお迎えしようか30分くらい悩んだ。

枯らしてしまう予感が強すぎて断念したが。ヤモリ温室に置けばワンチャンあるか……?

あと植物に関係ないところで、板橋は我が家でも飼育しているトッケイヤモリと飼育していたアカメカブトトカゲ、いつか飼いたいと思っているアメイイロイボイモリ、水族館ではずっと張り付いて見てしまうチンアナゴまでいて、大変私のツボをついてきた。

近隣県の植物園の食虫植物も、もうちょい計画的にプランを組んでいれば休日を利用して見られたかもしれないが、「あ、植物園に行ってみよ」がしっくりくるタイミングが、私には今だったようである。手の届く範囲で楽しむとしよう。

ウツボカズラへの愛着が冷めなければ、いつか食虫植物の聖地と呼ばれる兵庫県立フラワーセンターに行ってみたいと思う。

コメント

  1. 情報量がすごい!! ま~~たひじきさんが新しいものに沼っている…とニヤニヤしてしまいました。

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  2. 食虫植物ってこんなに巷に存在しているのね(巷とは)。わたしはモウセンゴケの造形がすきです。

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