偏った愛

 この酷暑、外出すると汗をかくことは避けられず、冷房で一度乾いたとしても、帰宅する頃には自分の一部も溶けだしているのではないかと言うどろどろ具合である。湯船に浸かることが体を労わるとわかってはいるが、一刻も早く洗い流したい欲求に負けて、シャワーで済ませてしまうことも多い。


今日はセクシー大根を見に行った。


セクシー大根とは、収穫写真がSNSでよく出回っているやたらとセクシーな形をした野菜……を、雑貨やアパレルの通販会社フェリシモが商品化した抱き枕である。


私がゼミ長を務めるジャガイモ好きの集まり芋研ゼミ、そのメンバーのAさんが、このセクシー大根を愛してやまない。家に大小2体いて日々揉んでは癒されているらしく、近頃はセクシー大根LINEスタンプも多用する。そのAさんと、同じく芋研ゼミ生のHさんと3人で渋谷に出かけた。


スクランブルスクエアのイベントスペースで「大偏愛展」と称して、フェリシモのおもしろ雑貨・動物雑貨シリーズ「YOU+MORE!」の商品が期間限定で展示してあり、触ったり写真を撮ることができる。入口から5体のセクシー大根が出迎えてくれ、園芸鉢用のスタンドから引き抜いてはふわもちボディを抱くことができた。


目鼻はついていないので前後は気にすることなく、どのような感情でそこにいるのかもこちらの想像に委ねられる。


セクシー大根以外にも、パンダやハムスターに混ざって

キウィやハダカデバネズミ、マヌルネコなど私が「ひじきさんてそういう(ちょっと変な)の好きだよね」と言われるタイプのぬいぐるみもあり、一定の需要はあるじゃないのよ!と安心したり、あざらしに混ざってカキやカニのぬいぐるみもあり、商品企画会議の様子を見学したい気にもなった。

ジャガイモもぜひグッズ化してくださいと、ポストイットで貼って会場を後にした。


渋谷でフィナンシェを2つ手に入れてから、

三軒茶屋に移動し、昼ごはんはオムライスにした。

この店に行くとなった時から、メニューにあるという「大人様オムライス」にしようと写真も見ずに決めていて、勝手にトッピングどっさりのメガ盛りが出てくることを想像していたが、


実際のところハンバーグとエビフライとマッシュポテトがついているサイズは普通のデミグラスソースのオムライスで、拍子抜けした。

Hさんにペンライトを振って応援上映してもらうこともなく、普通の食事としてにペロリと食べられる範囲だ。

以前、山のような生姜焼き定食に挑むとき、「私が生姜焼きを倒すところを応援上映したくありませんか?」と誘ったら、Hさんはペンライトを持参してくれたのである。まあ、その時も応援するような危機は訪れることはなく、キュアバキュームという二つ名が付いたのだが。


三軒茶屋付近にはおいしいパン屋さんが多く、一時期Aさんとスタンプラリーのように鞄をぱんぱんにして(パンだけに)周遊したことがあったが、今回はその中の2店舗に立ち寄り、クイニーアマンとフィナンシェと、その他パンを3つほど、日ごろから持ち歩いている草群さんお手製の積読バッグに押し込んだ。


芋研ゼミはジャガイモを愛するつながりなので、集まればたいてい芋も食べる。

今回は佐藤青果店の営業する「旨芋や」で紅男爵のフライドポテトを。全フレーバーの味が入った欲張りセットである。


紅男爵はブランド名、品種でいえば「ベニアカリ」のことで、ホクホク系の粒子が細かい粉感の詰まった食感に、越冬させたのか熟成のかかったはっきりとした甘みがあってよかった。チリや青のり味より、一番シンプルな味付けが一番おいしい。


ちょっといい珈琲屋でまったりとおしゃべりに興じ、

東急ストアでジャガイモを買った。

今回は「ながさき黄金」の選抜品「壱岐黄金」を。

三軒茶屋の東急ストアは、ここ数年ずっとジャガイモの品揃えがいいので、地元民でもないのにお客様の声カードで担当の人を褒め称えたいと常々思っている。


解散後、冒頭のシャワーを浴びるに戻るというわけだ。

友人と普通に遊んだだけで、家に帰る頃にはジャガイモとフィナンシェとクイニーアマンが袋に入っている。


実に不思議なことである。

コメント

  1. トートご愛用いただきましてありがとうございます(深々)。それにしても道すがらサラッとフィナンシェやじゃがいもを入手していくところが歴戦のハンターですね。
    今度ごはんご一緒するときは私もペンラ持っていきます。なんと16色に光るんですよ……

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  2. んふふかわいい大根! ひじきさんの鞄からは何でも出てくるぜ…と常々思っておりましたが、あの品々はこうして買い揃えられているんですね。

    ペンラ、動作確認を本日済ませましたので、応援上映いつでもいけますよ!

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