ベンジャミン

 「ベン図の会」と仮称していた座組で日記を回すことになり、さてタイトルはどうしよう、と意見を出し合ったときのこと。

「近場でうまいものを食べたい」くらいの日常的な欲望が重なった(そこが「ベン図」)顔ぶれであって、確固たる志のもとに集ったわけでもない。ならば名前もふわっとしているがよかろうと私は連想の世界に旅立った。

「ベン図」のもつ語感のインパクトは凄まじく、このワードを日常会話にポンと繰り出す瞬発力に感服したこともありなかなか離れることができない。ベン単体の響きはちょっとアレなので、三味線とかベン・ハーとかまあいろいろ頭の中を飛び交って、ちょっといいなと拾い上げたのが「ベンジャミン」である。

ベンジャミンといえばまずベンジャミン=フランクリンで、雷が電気だと証明した人なんですがなぜ真っ先にこの人が出てくるかというとディズニーのせいである。幼少期、というか赤ん坊の頃、我が家にはアメリカで買った紙箱入りのアニメーションVHSが並んでおり、シング・アロングとか他にもいろいろあったうちのひとつがベンジャミン=フランクリンの話だった。雷をつかまえようと凧を上げるベンジャミン、その凧に乗り込んだのが相棒のネズミという今思えばおそろしい話なのだが、「凧に乗り込む」というその一点がロマンに満ちて大変魅力的であった。あとはめっちゃ雷に打たれてた気がする、くらいしか覚えていないのだが、子供の記憶なんてそんなもんである。
ビデオといえば“No, it's video !!”と叫ぶペンギンのCMが好きだったなと思ってYouTubeで検索しました。びっくりして叫んで踊りだすあの感じ、やっぱり好きだわ。

次が大島弓子の漫画「秋日子かく語りき」。ドラマにもなったが、亡くなったお母さんが若い娘にのりうつり、自分の家族を心配して様子を見に来る話。そのお母さんが大事にしていたのがベンジャミンの木で、名前がフランクリンだった。こういう、日々を連想で紡いでいく感覚は、大島弓子の漫画からも得たように思う。
幼い頃は母の蔵書を貪るように読み、なかには今はなき古いレーベルのコミックスもあって、あの紙の茶色さと線の細さが好きだったなあと振り返る。

で、あとはピーターラビットに出てくるベンジャミン=ラビット。なんかベレー帽被ってた気がする。はて、どんなうさぎだったか……。なにもかもがうろ覚えで……。

とかなんとか展開してはみたものの、私の話のもっていきかたはどうも毎度突拍子がなく、何人かで共有するには向かないようである。こういうことは自分の創作世界でやるとして、肝心のタイトルは結局めいめいのペンネームから拾ったやわらかな文字の並びに落ち着いたのだった。
さもありなん。

そんな今日は己の就職祝いでパフェを食べてきます。


とか言ってたら急に偉い人達の飲み会に巻き込まれ、まだ見ぬ他部署の面白い人の話で泣くほど笑い、「私これからパフェ食べに行くんで!」と上司を置き去りにして向かった夜パフェの店ではカウンターにずらりと「なにかしらのご縁のあるわたしたち」が並び、なんだか食にまつわる数奇なものを感じながら家路についたのであった。
ちなみにこのパフェはとうもろこしプリンと醤油バターでソテーしたとうもろこしが載ったとうもろこしパフェである。
どうだ、いいだろう。

コメント

  1. 噂のとうもろこしパフェ! 甘いプリンに醤油バターなんて絶対おいしいな…。

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  2. ベン図からベンジャミン語りが聞けるとは!今度は一緒にパフェ食べに行きましょうね。

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