世の人は

休日の過ごし方の話。

物書きをしていると、それがアマチュアの趣味の範疇であってもつい、空き時間があればなにか書かねばと思い巡らしてしまう。完結していない物語があればなおのことで、休みの日の過ごし方はおのずと限られてしまう。

年が明けてからこっち、先週は熱海に湯治に出かけ、今週は美容室に行ったり買い物をしたり、久しぶりにまともに夕食を作ったりして、創作らしいことはなんにもしていない。

そうか、世の人はこうやって休日を過ごすのだなあ。
せっかくなので、楽しかったことを残しておくことにする。

熱海の二日目はホテルニューアカオの日帰りプランでランチとお風呂、その後ちょっとおしゃれな干物と日本酒の店に行こうとしたのだがモタモタしていたら「このあと予約でいっぱいで」と断られてしまい、もうひとつ目をつけていたフレンチおばんざいのカウンターで呑むことにした。
ニューアカオ、錦ヶ浦という絶壁を生かした大変なレトロ建築で、絶景とりっぱなシャンデリア、それから螺旋階段の宝庫だった。
熱海はほんとうに螺旋階段が多い。建物のホテルの外に取り付けてある非常階段が落とす影の美しいこと。継ぎ目なくぐるぐる回りながら昇降できる楽しさ。もともと階段好きなので、踏み入ってもよさそうだと見ればすぐ上ったり下りたりしてしまう。美しい階段は使い心地もよい。
話がそれた。夜に入ったフレンチおばんざいの店「マルノワ」は、三軒茶屋にあったのが里帰りしたそうで、オシャレだけど地元のおじさんおばさんともワイワイしてて、とても楽しかった。一人飲み限定セットがあるのもうれしい。一品の量を抑えて五品出してくれるので、一人でもいろんな味が楽しめる。ついつい白ワインが進んでしまった。
へべれけで宿まで戻るあいだ、どうしてもラーメンが食べたくなったので欲望に従ったのだが、さすがに食べすぎた。でも「うえ田」の魚介豚骨、好きな味だったので今度は腹ペコで食べたい。

旅の三日目は夏にも行った「オーシャンスパfuua」で夕方までお風呂に入ったり本読んだり昼寝したりして、長引いた風邪で鼻が詰まっていたので自分のいびきにびっくりして目覚めたりして、ゆるゆるにほどけきったのち、また鈍行で帰った。

このとき、翌週が大変忙しい終電駆け込み週になるなんて本人は知るよしもない。

そんな平日を乗り越え、今週の土曜は昼近くまでゴロゴロして、やっと川へ洗濯に出てから美容室に向かった。
伸びっぱなしだった、というか珍しく伸ばしていた(伸ばしてもショート)髪をいいかげんどうにかしたくて、白髪もまた増えてきたのでいっそ思いっきり色を変えてやることにした。
美容師のMさんにはほぼ人生の半分お世話になっているので、今回もふんわりしたオーダーで任せきり、なんなら途中で爆睡した。ブリーチして、それからネイビーを入れる。ぱっと見は黒っぽいけどちゃんと青。髪型はクセを活かして前髪をスッと上げる、ハンサムなイメージに整えてもらった。
「カタギじゃない感じで」「見た人が笑っちゃうくらいの青で」「前髪ふわっと上げて、クセそのまま活かしたいです」
こんなザックリしたこと言われていいかんじに仕上げてくれるんだから、プロってやっぱり素晴らしいし付き合い長いだけある。もう本当に、ずっと元気で私の髪の面倒をみてほしい。
帰りはなんだか勢いがついて、買おうかずっと悩んでいた推しのブルーレイBOXを買ってしまい、ついでにシチューにしようと食材を買い込んで帰ったのだが、シチューの素だと思っていたものがまさかのクラムチャウダーの素だったので、「さすがに違う」とカレーにした。

翌日の朝昼兼用もそのカレーで、昼すぎに買い物をしようとぽてぽて西荻方面に歩く。
熱海で買った釜揚げ桜えびを大根おろしと一緒に食べたくて、おろし金を買いに台所用品の「六貨」へ。あのコンパクトな空間におろし金も大・小・スティックタイプとあって、見れば見るほどいろんなものが見つかる大変楽しい店で、アウトドアで使うようなフライパンと鍋と蓋になるお皿のステンレス三点セットがお手頃価格になっていたので、悩んだ末に買ってしまった。柄の部分が本体に沿って畳めて、重ねて蓋してまとめられるので場所もとらない。ちょうど小さなミルクパンもフライパンも欲しかったのだ。いつかキャンプに行くことがあれば持って行ってもいい。いい買い物をした。

なんだか体が冷えていて、あたたかいお茶が飲みたくなって「西荻3時」へ。ひじきさんとやまおりさんと西荻さんぽしたときに行ったねえ。そういえば、この交換日記の話はあの店で決まったのだった。
予約も何もしていないが、ひとりなら入れるかな、と声をかけてみたら運良く入れた。ジェラートセットで飲み物は抹茶ラテ。飲み物まで全部濃厚にしちゃったから、ほうじ茶でもよかった気もするが、でも飲んでみたかったのだ。むらくもやまで行ったときはポットのお茶をいただいて、時間をはかるのに金の砂が落ちる美しい砂時計が添えられていたのがずっと気になっていたので、ちょうど昨日誕生日を迎えた母への贈り物にした。実家に帰ったら私も借りよう。

もろもろ満足して帰宅、さっそくおろし金で大根をおろし、アウトドア用の小さな鍋で野菜たっぷりの味噌汁をつくり、冷凍していた桜えびを出して丼ごはんにのせ、昨日つくっておいた春菊のナムルと一緒に夕食とした。

わあ、すごい、普通の休日っぽいぞ。

ただ、大掃除のこととか、働きぶりのこととかでひじきさんやまおりさんに言及いただいているが、そういうことはみーんな放置している。
来週、来週やります。なので、平日の仕事量がちょっと落ち着いてくれると助かるなあ。

最後に、私がテンション爆上がりした螺旋階段を置いておく。


コメント

  1. ネイビーの髪、いいですね! 次にお会いするのが楽しみ。暇があれば何か書いたほうがよい気がしちゃう感覚に深く頷きつつ、そういう中で常ならぬことを意識的に拾いにゆくあたりに草群さんらしさを感じたりしました。

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  2. ネイビー髪、ハンサムでした〜。みんなで行った場所に1人でまた訪れて、思い出したりするのもいいですよね。書いても書かなくても、有意義なことがあってもなくても自分らしくいられれば休日大成功ですね!

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