こよみのはなし

ギャラリーイロのカレンダー展に行ってきた。

毎年恒例の企画展で、12月になるとここで来年のカレンダーを求めるのがならいになっている。壁に飾る絵をまめに入れ替える甲斐性はないけれど、カレンダーなら月が替わるごとにはっと気づいて変えられる。
実家では母が雑誌の付録のカレンダーにみっしりと予定を書き込んでいたが(主に私を含む三姉妹の学校の用事)、私のスケジュール管理は薄手の手帳と仕事で使うグーグルカレンダーなので、自宅の壁掛けカレンダーはもっぱら壁の花(ちょっと違う)と化している。

この一週間、特別忙しいわけではなかったんだがとにかく身体がしんどくて、の割に仕事が進まなかったので帰宅したら色んな意味で一日が終了していた。部署に新人を迎えて、席が隣だからちょっと気疲れしたのもあると思う。仕事を教えるの難しい。というか私もまだわかってないことが多い。人に教えると情報が整理されるというけれど、自分のなかで整理のついていない情報を他人に伝えることが私にはとてもむずかしい。という主旨のぼやきを漏らしたら、同僚に「だってアンタ、どちらかっていうとまだ教えてもらう側の人じゃん」と突っ込まれてすこし気が楽になった。

体感の時間と実際の暦に大きな開きが生じている。思えば一年前は将来への不安に駆られながら一日ごとのアルバイトでほぼその日暮らしだったのだ。安定した収入のある生活に戻ったのが5月なかば。え、まだいまの職場で半年経ってないのか。
赤ちゃんじゃないか!

まあ三十代も半ば過ぎた社会人が赤ちゃんを気取るなという話なのだが、どうやら私は自分の甘さを自覚しているだけに己を追い込みがちだということに気づいた。
「このへんでやめとこうと思うのは甘えという名の悪癖である、ただ帰りたいだけですべきことはまだあるのではないか」と煩悶している間に上司の無茶振りに捕まる、という寸法である。件の上司もたいがい無理をしがちな人ではあるので、助けになるなら無茶振られもやぶさかではないのだが、度が過ぎると身体がもたない。おそらく、ここ最近のだるさはそのせいもあると思う。

そんなことを言いながら、先日は半日ゆっくり本を読む時間をとることができた。
月村了衛「十三夜の焔」。
宿命めいたつながりに翻弄される男二人の時代劇である。作者の「機龍警察」がめちゃめちゃハードでシビアでかっこいい、そして深い闇に切り込んでいく現代劇だったので時代物だとどうなるんだろうと入手してずっと積んでいたのだが、なるほど江戸の町に跳梁する盗賊を追いかけるところから幕府の闇に迫り、二人それぞれの行く手にかならず互いの影が差す。本を読むためのカフェ・fuzkueに籠もって一気に読んだがとても良い体験をした。

なんかこう、日々ちょっとずつ本を読めるような、バランスのとれた生活がしたいものです。
そんな師走。

コメント

  1. 半年経ってないよ、ハイパー赤ちゃんすぎるんだよ!
    fuzkue気になりつつまだ行ってないんですよね、これをがっつり読むぞっていう本を持ってそのうち訪れたいです。

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  2. カレンダー展いいですね! 忙しいながらも季節を楽しんでおられる様子にニッコリです。「十三夜の焔」、男二人の……と紹介されると俄然気になってしまうな。

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